...木村といふ首桎(くびかせ)を受けないでは生活の保障が絶え果てなければならないのだから...
有島武郎 「或る女」
...国士という桎梏(しっこく)から全く解放されたものは先ずなかった...
内田魯庵 「二葉亭追録」
...畢竟一つの桎梏を作家に加えるわけになる...
高村光太郎 「緑色の太陽」
...残虐な桎梏(しっこく)に呻吟(しんぎん)している囚人の如くに映じて来る...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...この氷の桎梏(かせ)からのがれ得ることを祈る...
ドイル Arthur Conan Doyle 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...封建的生産関係が社会の桎梏となった時...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...そのプロパーな言語学的又歴史学的桎梏から脱して...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...身分とか職業とか疎外された人間の桎梏に対立する人間となること...
中井正一 「「見ること」の意味」
...かくて時間性の桎梏に呻かしめる...
波多野精一 「時と永遠」
...桎梏から離れたやうな氣がするわよ‥‥」と...
林芙美子 「或る女」
...恐ろしい重さでのしかかってくる岩盤の桎梏(しっこく)のしたからツイとすりぬけた...
久生十蘭 「キャラコさん」
...いろいろ思い回(か)えして見れば、女工や鉱婦や淫売婦達が虐げられている事実など空ふく風に、華やかな電燈の下で音楽と酒と白粉(おしろい)の香に陶酔して、制度の桎梏も、生活苦も知らずに幸福な夢をむさぶっているように見えるウェイトレスの生活も、余りに悲惨な存在である...
細井和喜蔵 「女給」
...一旦出来上って固定した形は我々の活動に対して桎梏にさえなるのである...
三木清 「哲学入門」
...今ではそれの発展に対する桎梏にまで転化した...
三木清 「マルクス主義と唯物論」
...基本金を桎梏(せめどうぐ)として合祀を迫ること止まず...
南方熊楠 「神社合祀に関する意見」
...女らしさというものの曖昧で執拗な桎梏に圧えられながら生活の必要から職業についていて...
宮本百合子 「新しい船出」
...そうした桎梏の環境のなかで揉まれながら冷たくかたい凍原のなかで春を待っていたのである...
村山俊太郎 「子どもの世界」
...桎(ちつ)がある...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
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