...軛(くびき)にかかった輓牛(ひきうし)のような柔順な忍耐と覚悟とをもって...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...五十村警部長なども一方では彼等が杖一つもたず柔順なのに感じ入りながら...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...ひどく柔順なそして慕ひ寄るやうな態度を持つてゐた...
スティーヴンスン 佐藤緑葉訳 「帽子箱の話」
...敏活だがなんとなく上品な感じだつた……尤もそれは上品な脚立か柔順なタオルかけのつぎ目の動きを連想させた...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「とけない問題」
...流れる水のように柔順なその姿のどこに生後一年の溌剌(はつらつ)さが宿っているのだろうか...
壺井栄 「一つ身の着物」
...彼自身の前にうなだれている柔順な顔――ただ...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...舊自由黨は之れに柔順なる服從を表するの外...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...旧自由党は之れに柔順なる服従を表するの外...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...思うままになる柔順な玩具として彼を好きだった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...御眼を垂れてくださりませ!いと畏きいと崇高き殿下の全き謙譲忠実柔順なる僕(しもべ)...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...あの柔順な浅吉が...
中里介山 「大菩薩峠」
...柔順な、純真なあの子を、わが心のひがみから、あまりにも虐げ過ぎたと自覚した時には、たまらない悔恨に責められる...
中里介山 「大菩薩峠」
...大和の奈良の春日山の神鹿の祖、ここに数千の野生の、しかも柔順な、その頭には雄健なる角をいただいて、その衣裳にはなだらかな模様を有し、その眼には豊富なるうるみを持った神苑動物の野生的群遊を、その豪宕な海と、閑雅なる松林の間に想像してみると、これも、すばらしい画題だ! その群鹿の中に取囲まれて、人と獣とが全く友となって一味になって、悠遊寛歩する前代人の快感を想像する...
中里介山 「大菩薩峠」
...僕は母に対してけっして柔順な息子(むすこ)ではなかった...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...ひとたび信者となってからは手を覆(くつがえ)したごとく温和な柔順な...
新渡戸稲造 「自警録」
...「貴下(きか)の柔順なる忠僕(ちゅうぼく)」と直訳すると...
新渡戸稲造 「自警録」
...決して柔順なFのピエロオぢやないよ...
牧野信一 「或る五月の朝の話」
...万事に柔順な翁は...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
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