...階子段(はしごだん)をしとやかにのぼって愛子がいつものように柔順に部屋(へや)にはいって来た...
有島武郎 「或る女」
...善良な柔順な性格だか...
池宮城積宝 「奥間巡査」
...優美よりは快活、柔順よりは才発、家事よりは社交、手芸よりは学術というが女に対する渠(かれ)の註文であった...
内田魯庵 「四十年前」
...一般の人民が政府に対して柔順なうちはよろしいが...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...もと/\柔順に教育された女だけに別に反抗するやうな事も無く出來るだけの事は遣るやうであつたが...
高濱虚子 「續俳諧師」
...流れる水のように柔順なその姿のどこに生後一年の溌剌(はつらつ)さが宿っているのだろうか...
壺井栄 「一つ身の着物」
...侯爵さま!」と襤褸を著た柔順な一人の男が言った...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...極端な柔順さのために活気も気力もないものであった...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...ムクは決して柔順になりませんでした...
中里介山 「大菩薩峠」
...大和の奈良の春日山の神鹿の祖、ここに数千の野生の、しかも柔順な、その頭には雄健なる角をいただいて、その衣裳にはなだらかな模様を有し、その眼には豊富なるうるみを持った神苑動物の野生的群遊を、その豪宕な海と、閑雅なる松林の間に想像してみると、これも、すばらしい画題だ! その群鹿の中に取囲まれて、人と獣とが全く友となって一味になって、悠遊寛歩する前代人の快感を想像する...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼女が柔順であればあるほど...
夏目漱石 「明暗」
...何(なに)も柔順(おとな)しう成長(おほきう)なり給(たま)へと...
樋口一葉 「曉月夜」
...うわべは素直らしく柔順には見えながら...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...けれども太郎は生れ付きの柔順(すなお)さで...
夢野久作 「木魂」
...柔順(おとな)しうしとれ」「エベエベエベエベ」「なあ若先生...
夢野久作 「笑う唖女」
...馬は前方に現れた眼匿(めかく)しの中の路に従って柔順に曲り始めた...
横光利一 「蠅」
...もし孟達が孔明の戒(いまし)めに柔順であったら...
吉川英治 「三国志」
...いつも柔順で無垢(むく)な一処女であった...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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