...しかもあの柔順らしく見える愛子は葉子に対して生まれるとからの敵意を挟(さしはさ)んでいるのだ...
有島武郎 「或る女」
...社会のこの不言不語の強圧に対して柔順である...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...柔順(すなお)に別れ話にした早瀬さんも感心だろう...
泉鏡花 「婦系図」
...細君の方は極めて柔順な奴隷であったろうが...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...服従もしくは柔順の態度を誤って粧(よそ)わなかった時に...
大隈重信 「列強環視の中心に在る日本」
...狩野氏の家を出てから山端の平八茶屋で午飯を食うて此の宿の門前に来るまでは如何(いか)にも柔順(すなお)な子供らしい態度の漱石氏であったが...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...侯爵さま!」と襤褸を著た柔順な一人の男が言った...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...余の馬は極めて柔順なれど...
徳冨蘆花 「馬上三日の記」
...大和の奈良の春日山の神鹿の祖、ここに数千の野生の、しかも柔順な、その頭には雄健なる角をいただいて、その衣裳にはなだらかな模様を有し、その眼には豊富なるうるみを持った神苑動物の野生的群遊を、その豪宕な海と、閑雅なる松林の間に想像してみると、これも、すばらしい画題だ! その群鹿の中に取囲まれて、人と獣とが全く友となって一味になって、悠遊寛歩する前代人の快感を想像する...
中里介山 「大菩薩峠」
...ひとたび信者となってからは手を覆(くつがえ)したごとく温和な柔順な...
新渡戸稲造 「自警録」
...はびこらずに謙遜(けんそん)に柔順なるこそ真に世に処する妙法である...
新渡戸稲造 「自警録」
...換言すれば柔順は永久の徳なり...
新渡戸稲造 「自警録」
...そして誰にでも柔順である彼が...
牧野信一 「毒気」
...一高の優等生になっている柔順(おとな)しい一人息子の長男と一緒に...
夢野久作 「近眼芸妓と迷宮事件」
...馬は前方に現れた眼匿(めかく)しの中の路に従って柔順に曲り始めた...
横光利一 「蠅」
...『麗景殿の柔順もいいが...
吉川英治 「美しい日本の歴史」
...一も二もなく関東方には御柔順だった...
吉川英治 「私本太平記」
...柔順に首を垂れた...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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