...房さんは禿頭を柔らかな猫の毛に触れるばかりに近づけて...
芥川龍之介 「老年」
...柔らかな褥(しとね)を改めた卓上はすでにまったく清められて...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...そして若い柔らかい頭の中から...
寺田寅彦 「丸善と三越」
...開くと柔らかな芳香が流れ出して...
豊田三郎 「リラの手紙」
...私はかなめの垣から若い柔らかい葉を(も)ぎ取って芝笛(しばぶえ)を鳴らした...
夏目漱石 「こころ」
...柔らかな愛情とがわれわれの魂までも和(なご)めてくれるだろう...
野村胡堂 「楽聖物語」
...あたしは大好きなのだからと買わせて食べながら「これは柔らかいからおいしくない」といって笑った...
長谷川時雨 「マダム貞奴」
...すべすべとして油になじんだ鹿皮のやうな柔らかさがある...
林芙美子 「晩菊」
...女の子供の肉は柔らかで味がいいなどと無慚な評定をし...
久生十蘭 「ボニン島物語」
...柔らかい光が古い家具や絵画を照らし...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...白鳥よりもむね柔らかし海の波はうごけども君がうごく姿に似ずわが骨の髄はいたむ...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「琴」
...柔らかな手もて蛇の体を押し上げて...
南方熊楠 「十二支考」
...柔らかなその御動作に従って立つ香はことさら用意して燻(た)きしめておいでになった匂宮らしかった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...わたしは柔らかい感じやすい皮膚を持っているのだ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...「みそ」というのは石の間に挟(はさま)った有機物の腐れた黒褐色(こくかっしょく)のごく柔らかい部分をいう...
柳宗悦 「野州の石屋根」
...骨まで柔らかにするためには...
山本周五郎 「青べか物語」
...柔らかいその声を...
山本周五郎 「山彦乙女」
...しかし柔らかな、円い、艶(つや)っぽい唄であれば、自分はいきなりその濃い雰囲気のなかへ引き入れられて行くように感ずる...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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