...食糧箱の表面は一面に柔らかい凝霜でおおわれていて...
寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
...しかし撓(しな)いぐあいはたしかにこのほうが柔らかで...
寺田寅彦 「錯覚数題」
...それがちょっとつま楊枝(ようじ)の先でさわってもすぐこぼれ落ちるほど柔らかい海綿状の集塊となって心核の表面に付着し被覆しているのである...
寺田寅彦 「小爆発二件」
...崖(がけ)の風化した柔らかい岩の中に花崗石(みかげいし)の大きな塊(かたまり)がはまっているのを火薬で割って出すらしい...
寺田寅彦 「旅日記から(明治四十二年)」
...孔子(こうし)や釈迦(しゃか)や耶蘇(やそ)もいろいろなちがった言葉で手首を柔らかく保つことを説いているような気がする...
寺田寅彦 「「手首」の問題」
...隠れたる太陽の柔らかな光のように...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...鎧櫃の前の塗板の柔らかそうなところへ勢い込んで槍を立てると...
中里介山 「大菩薩峠」
...私は父の禿(は)げ上った額の外(はずれ)でそれを柔らかに抑(おさ)えていた...
夏目漱石 「こころ」
...胡という字を柔らかく訓(よ)んで...
野村胡堂 「随筆銭形平次」
...フランツ・ホフマンと名乗る物柔らかな中年の紳士だった...
牧逸馬 「生きている戦死者」
...柔らかい霰(あられ)のようなものが降って来た...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...柔らかい着物を顔に押し当てるようにして浮舟の姫君は寝たそうである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...貝ノ馬介の死体がふいにいま動いたような気がし、すてはボロきれを取ってその顔をあらためて見たが、顔は思ったよりも苦痛の色をうかべずに、柔らかであった...
室生犀星 「舌を噛み切った女」
...柔らかいしかし大きい手であった...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...三度たく飯さへこはし柔らかし心のまゝにならぬ世の中の歌を思い出し...
柳田国男 「木綿以前の事」
...柔らかな連鎖のその一鎖りだったと思った...
横光利一 「旅愁」
...使うに物柔らかなことが...
吉川英治 「新書太閤記」
...美しい優しい柔らかい声の中の...
和辻哲郎 「エレオノラ・デュウゼ」
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