...肉(み)が少し柔いが……...
石井研堂 「東京市騒擾中の釣」
...「あなたア」などとその目でじろりと遣るだろう……白肉の柔い楯(たて)になって...
泉鏡花 「薄紅梅」
...白くて豆腐のごとくに柔いものが充満しているが...
丘浅次郎 「脳髄の進化」
...黒ずんだ土の上には黄色い柔い日影がさした...
鈴木三重吉 「女の子」
...苦るしい孤獨が自分を再び夢の中へとり戻す病氣の快復の希望を認めたやうに柔い燈の下にてらされて自分は夢見る...
千家元麿 「自分は見た」
...彼女は頬から頸へかけて柔いふっくらとした肉がついている...
豊島与志雄 「囚われ」
...地面が柔いのでしょうか...
豊島与志雄 「碑文」
...なお七十以上になると男女共に柔い物が着られた...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...柔い羽根をひろうと家ではそれを羽箒(はぼうき)にしてひき茶をはきよせるのを私は自分が拾ったのだといって御褒美に数をきめて臼を廻させてもらう...
中勘助 「島守」
...自分はピアノの上に置いた櫻草の柔い緑の葉と...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...その柔い手に接唇(くちづ)けた...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集≪学校時代の詩≫」
...柔い躯を抱いた感觸が忘れられなかつた...
林芙美子 「多摩川」
...指環をはめていない手が絹ハンカチのように頼りないほど柔い...
林芙美子 「晩菊」
...少女子は夏の夜明の蔓草の蔓の勢ひ持たざるもなしたとへば朝顔の蔓のやうにか細く柔いが...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...それで柔いのは若鳥の証拠です...
村井弦斎 「食道楽」
...あるいは鶏の柔い肉を好(す)き自由に切っても構いません...
村井弦斎 「食道楽」
...それに薪(まき)の堅いので炊いたのと柔いので炊いたのとは火の通りが違って味も変ります...
村井弦斎 「食道楽」
...白砂が箒の波目を揃え入り組んだ柔い線をよせていた...
横光利一 「旅愁」
便利!手書き漢字入力検索