...代りに現れたものは物柔い優しさに満ちた注意深さだつた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...彼の中に柔い落ち着きと平和を築き上げて行くやうであつた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...任せた柔い真白い胸もと...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
......
峠三吉 「原爆詩集」
...苔のない柔い地面から匐い出している蚯蚓を...
豊島与志雄 「人の国」
...柔い線をば浮立つばかり鮮かにさせて居る...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...堅い物と柔いものとはどうも一緒にはうまく包めない...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...なまめかしく柔い声だつた...
林芙美子 「浮雲」
...柔い蒸気に顔をなぶられながら...
林芙美子 「浮雲」
...今頃は仄白い大方脚気を直したい人達が靄を分けつつ柔い苜蓿の上をはだしで踏んでゐる頃であらう...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...岩も柔いやうだな...
宮沢賢治 「イギリス海岸」
...大きな匙(さじ)へ十杯に焼粉(やきこ)がなければ炭酸曹達(たんさんそうだ)を今の匙へ半分ほど入れてよく混ぜておいて別に大匙五杯の砂糖を大きな玉子二つでよく溶いて粉と混ぜて水で捏(こ)ねますがその加減は饂飩の捏ねたのよりも柔いほどにして厚さ二分か三分位に展(のば)します...
村井弦斎 「食道楽」
...西京で名代(なだい)の芋棒(いもぼう)なんぞもよく蒸してあるから柔いのです」と一々懇(ねんごろ)に説明する...
村井弦斎 「食道楽」
...私は大原さんと反対で貴嬢(あなた)のお拵(こしら)えなさるような柔いお料理が大好きですがこのボイルドチッキンはどうするのですか...
村井弦斎 「食道楽」
...天鵝絨(びろうど)のやうに柔い目...
カミイユ・ルモンニエエ Camille Lemonnier 森林太郎訳 「聖ニコラウスの夜」
...今の千鶴子の柔い言葉が一番胸に強く応えているのは...
横光利一 「旅愁」
...その柔いだ光りに照し出された売春婦たちは円くテラスに塊って遅い夜食のスープをすすっていた...
横光利一 「旅愁」
...蝋色の子蜂の群が柔い脚を紫陽花の乱れた弁にかけ...
横光利一 「旅愁」
便利!手書き漢字入力検索