...誰か柔い白パンに木炭画の線を拭つてゐる...
芥川龍之介 「春の夜は」
...肉(み)が少し柔いが……...
石井研堂 「東京市騒擾中の釣」
...そんなら云うが、この薬の働きはねえ、人間の柔い皮膚を浸蝕(しんしょく)する力がある」「そうか、柔い皮膚を、抉(えぐ)りとるのだな」「それ以上は、言えねえ」「ンじゃ、先刻みせた注射器の底に残っていた茶色の附着物(ふちゃくぶつ)は、この薬じゃなかったかい」「さァ、どうかね...
海野十三 「夜泣き鉄骨」
...しかもその透きとおるような柔い脚を確実に指さしてしまった...
太宰治 「令嬢アユ」
...彼の中に柔い落ち着きと平和を築き上げて行くやうであつた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...物の形を一様な柔い調子の中でくつきりさせてゐた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...何だか柔いものが私の全身を捉えた...
豊島与志雄 「蠱惑」
...その言葉と彼女の柔い掌とを感ずると...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...自分はピアノの上に置いた櫻草の柔い緑の葉と...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...堅い物と柔いものとはどうも一緒にはうまく包めない...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...御都合いかゞ?」あぶらのむちむちした白い柔い手を頬に当てゝ私を見ている此女の瞳には...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...柔い素足の残す跫音(あしおと)かと思われた……で...
ホーフマンスタール Hugo von Hofmannsthal 木下杢太郎訳 「チチアンの死」
...しかしこの若者は柔い草葉の風に靡(なび)くように...
森鴎外 「護持院原の敵討」
...参木はその柔いだ眼の光りから...
横光利一 「上海」
...此の手紙は何と柔い手紙であらう...
横光利一 「火の点いた煙草」
...今の千鶴子の柔い言葉が一番胸に強く応えているのは...
横光利一 「旅愁」
...この森の木の葉は初毛のように細かく柔いので...
横光利一 「旅愁」
...蝋色の子蜂の群が柔い脚を紫陽花の乱れた弁にかけ...
横光利一 「旅愁」
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