...兎(と)に角(かく)或柔い物が、柔いなりに、むづりむづりと、食道を上へせり上つて来るのである...
芥川龍之介 「酒虫」
...誰か柔い白パンに木炭画の線を拭つてゐる...
芥川龍之介 「春の夜は」
...路面の柔いのに注意してか...
海野十三 「地中魔」
...木彫の場合にもその柔い感じを出そうとして丸鑿を使い出したものだろうと推測するのである...
高村光太郎 「回想録」
...柔い中にどこか堅気のある女にちがひないが...
田畑修一郎 「鳥羽家の子供」
...柔い冬の日脚も楽しかった...
豊島与志雄 「或る女の手記」
...淋しく興奮した頭が次第に柔いだ...
豊島与志雄 「運命のままに」
...恒雄は柔い女の耳朶を唇に挾んだ...
豊島与志雄 「囚われ」
...どうして見送らないわけにゆきましょう!)わたしはかくべつ愛想よく彼の白い柔い手を握りました...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...ゆき子の柔い首を抱き...
林芙美子 「浮雲」
...屋久島は山と娘をかゝへて重たい島素足の娘と子供は足の裏が白い柔い砂地はカンバスのやうだ遠慮がちに娘は笑ふ飛魚の頃の五月屋久島のぐるりは銀色の魚の額ぶち青い海に光る飛魚のオリンポスだ...
林芙美子 「屋久島紀行」
...今頃は仄白い大方脚気を直したい人達が靄を分けつつ柔い苜蓿の上をはだしで踏んでゐる頃であらう...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...あるいは鶏の柔い肉を好(す)き自由に切っても構いません...
村井弦斎 「食道楽」
...やっぱりお登和さんの御伝授で餡掛豆腐の製法を先日教わりましたからその法を用いて今日はお豆腐を湯煮る時お湯の中へ葛を溶(と)いて入れましたからそれでお豆腐が柔いのです...
村井弦斎 「食道楽」
...柔い砂を靴先で蹴り蹴り歩いた...
横光利一 「旅愁」
...柔いフランス語で戯れている無邪気な肩のあたりから...
横光利一 「旅愁」
...あの柔い微妙な細みから...
横光利一 「旅愁」
...松の枝ぶりの柔い線を配してある結構なんて...
横光利一 「旅愁」
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