...啄木、永く都塵に埋もれて、旦暮(たんぼ)身世(しんせい)の怱忙(そうばう)に追はれ、意ならずして故郷の風色にそむくうちに、身は塵臭に染み、吟心また労(つかれ)をおぼえぬ...
石川啄木 「閑天地」
...土に染みた髮は異な臭氣を放つて居たが...
石川啄木 「病院の窓」
...血に染みて死しいたり...
泉鏡花 「活人形」
...朱(あけ)に染み...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...次に、あの黒い機械油のシミだが、溶け加減と言い、染み工合と言い、確かに暫く水浸しになっていたに違いはないが、凡(すべ)ての傷の一番最後から着いたものなんだ...
大阪圭吉 「カンカン虫殺人事件」
...貴方だって少しは私の気持身に染みて下さるかしら? 身に染みて下さるようなら頼もしいんだけれど……ではいずれ水曜日にね……お約束の八万六千ペセタの小切手ここに封入しておきます...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...不運ともよく馴染み...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...どす黒い血がさつと染み出てくるだらう...
南部修太郎 「疑惑」
...気違い染みた演奏を続けましたが...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...巽九八郎は少し気違い染みた大声をふり絞ります...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...平次の氣違ひ染みた樣子が氣味が惡かつたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...何のためにそんな子供染みた真似をしたのだ」「象の胎内潜りをしてひとを驚かせようなんてえのじゃない...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...これは百姓を移住させる時に必らず染みこむものです...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...妙に馴染みがある...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...血が染み通つてゐる...
マクシム・ゴルキイ Maksim Gorkii 森林太郎訳 「センツアマニ」
...わたくし最初は随分気違染みた事をなさると思って笑いましたの...
モルナール・フェレンツ Molnar Ferenc 森鴎外訳 「辻馬車」
...空洞(うつろ)な、怪物染みた、鈍い声であった...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...ポケットの内側の色が染み付いたのは多分アルコールの作用であろうと思いながら...
夢野久作 「暗黒公使」
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