...金甌無欠(きんおうむけつ)の国家の為に某々を殺したと言つてゐるではないか? しかし自由とは我我の行為に何の拘束もないことであり...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...不思議の商標(しるし)つけたるが彼(か)の何某屋(なにがしや)なり...
泉鏡花 「一景話題」
...某々がたいへんよい所へ片づいて非常に仕合せがよいというような噂(うわさ)は長くは続かぬ...
伊藤左千夫 「春の潮」
...博士――某銀行の頭取――某富豪の息子で...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...『貴殿から告発のあった誰某に対する偽証被疑事件は何月何日左記の通り処分しましたので通知します...
梅崎春生 「凡人凡語」
...太青洋の某無人島にある潜水艦根拠地に一旦落ちついたのであった...
海野十三 「二、〇〇〇年戦争」
...湖尻(うみじり)で村尾某の乗りました舟を探しましたが見当りませんので」「舟が見当らぬ? そうか...
海野十三 「人間灰」
...私は五月某日、終(つい)に笹子に向った...
大下藤次郎 「白峰の麓」
...十唱 あたしも苦しゅうございますおい、襖(ふすま)あけるときには、気をつけてお呉れ、いつ何時、敷居にふらっと立って居るか知れないから、と某日、笑いながら家人に言いつけたところ、家人、何も言わず、私の顔をつくづく見つめて、あきらかにかれ、発狂せむほどの大打撃、口きけぬほどの恐怖、唇までまっしろになって、一尺、二尺、坐ったままで後ずさりして、ついには隣りの六畳まで落ちのびて、はじめて人ごこち取りかえした様子、声を出さずに慟哭(どうこく)はじめた...
太宰治 「二十世紀旗手」
...幼い時より莫大の御恩を蒙っている某(それがし)として...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...小説の某大家は柱によって...
田山花袋 「田舎教師」
...如何に盲従の伝令使たる恒松某が政府の為に重宝がられたるかを見よ...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...殊に一友の如きは痾を紀州の某温泉に養つてゐたにも拘らず能大阪に来て僕を待合せ...
二葉亭四迷 「旅日記」
...西南某藩(それはん)の士(さむらい)にして...
三宅花圃 「藪の鶯」
...某年に飯田安石が此夥(くわ)に加はつた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...宝暦四年六月某日誕生...
山本周五郎 「初蕾」
...某旗亭で文春編輯子とぶつかり...
吉川英治 「折々の記」
...某(なにがし)の村落まで来たという情報もありまする」朝に夕に...
吉川英治 「新書太閤記」
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