...夜は見えなかつたのに、山のあちこちに、雪がまだらに模様を形づくつてゐて、枯れた木立や、赤さびた杉の木が目につきました...
土田耕平 「峠」
...焼け枯れた木立は...
豊島与志雄 「白藤」
...枯れた木に縄をつけ...
豊島与志雄 「山の別荘の少年」
...川平地区で二人の農民がこの枯れた萱(かや)を刈って担いで帰ったところ...
永井隆 「長崎の鐘」
...草の中には羊齒の葉が秀てゝ既に枯れた自然生の芍藥も交つて居る...
長塚節 「鉛筆日抄」
...やつとのことで軍扇か引かれると老人乘地になつて飛び込んで「お面と皺枯れた聲で怒鳴つた...
長塚節 「撃劍興行」
...眞菰の枯れたのが漂ふやうに浮いて居る淺瀬へその棹を突立てゝ舟の小べりを繋いた...
長塚節 「土浦の川口」
...柘榴(ざくろ)の枯れた幹から...
夏目漱石 「こころ」
...焼けトタンと枯れた雑草と...
野村胡堂 「九つの鍵」
...枯れた柳の木の柔らかな影や...
原民喜 「火の唇」
...何時になつても麻痺した部分は依然として枯れたやうに無感覚で...
北條民雄 「癩を病む青年達」
...二時頃から綺麗に枯れた芝生に面したヴェランダでビイルをのみながら四人で快談(もつとも僕はビイルが飮めないのでときどき話につかれると硝子窓の向うの松林の上を動くともなく動いてゐる雲をながめながら...
堀辰雄 「端書」
...狐色に冬枯れた茅戸の山を背にして...
松濤明 「春の遠山入り」
...流れの岸や隅の処に根を張つてゐるスゲの枯れた古葉の傍からは...
水野葉舟 「かたくり」
...枯れた花の中に朝顔が左右の草にまつわりながらあるかないかに咲いて...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
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八木重吉 「貧しき信徒」
...片方から枯れた草や...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...枯れた蓬(よもぎ)の細茎(ほそぐき)を風の吹くよな三味線(しやみせん)に曲弾(きよくびき)の音(ね)のはらはらと螽斯(ばつた)の雨が降りかかる...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
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