...葉子は果ては枕(まくら)に顔を伏せて...
有島武郎 「或る女」
...男の誇りも何も忘れ果て、捨て果てて、葉子の前に誓いを立てている木村を、うまうま偽っているのだと思うと、葉子はさすがに針で突くような痛みを鋭く深く良心の一隅(ぐう)に感ぜずにはいられなかった...
有島武郎 「或る女」
...疲れ果てて自分の寝床に臥(ふ)し倒れた...
有島武郎 「An Incident」
...一団の炎となり果てるとは...
海野十三 「火星兵団」
...果ては人波に押され揉(も)まれしている中に三人は散々(ちりぢり)バラバラになってしまいました...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...こんな荒れ果てた山寺の墓地には珍しく大理石の四辺(あたり)を圧するばかりに堂々たるものであったが...
橘外男 「逗子物語」
...うぢ/\と、内攻し、くすぶり、我と我が身を噛み、いぢけ果て、それで猶、うすつぺらな犬儒主義(シニシズム)だけは殘してゐる...
中島敦 「かめれおん日記」
...ぺしゃんこに疲れ果てゝしまって...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...吉池は自分の行く異邦の果てを空間的に考へてみて...
原民喜 「出発」
...やがて荒れ果てた風景の中に消え失せて行く草原の地平に沿つて流れて行つた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...解決に困り果ててしまいました...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...果てはほんとに世のなかが...
正岡容 「初看板」
...一行はや果てなむとす...
森鴎外 「文づかひ」
...こんなに変り果て...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...最初は双方とも変り果てた姿ながら...
夢野久作 「名娼満月」
...けろりと忘れ果ててゐたものを...
吉川英治 「折々の記」
...果てはシュクシュク啜(すす)り泣いたりしだした...
吉川英治 「剣難女難」
...そうです」「紅葉山下の作事場では、お書物蔵(ぐら)の工事と、西裏御門の壁塗りとで、左官、植木職、土工、大工などははいっておるが、井戸掘りは一名もいないはずだぞ」「そうでさ」と、大工たちは、職方目付の不審に、いい足して、「この井戸掘りめ、他人(ひと)の仕事場へ、きのうも今日もうろつきに来やがって、あげくの果て、大事な曲尺(まがりがね)を泥足で踏ンづけたりなどしやがったから、いきなり頬げたを一つくらわしてやったんです...
吉川英治 「宮本武蔵」
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