...果せるかな、手応(てごた)えがあって、井神陽吉が飛んだ犠牲(ぎせい)となったのである...
海野十三 「電気風呂の怪死事件」
...私は、奥のお婆さんに聞えなければいいが、とはらはらしてゐたのだが、果せる哉、襖がすつとあいて、お婆さんが出て来て、「さ、歌コも出たやうだし、そろそろ、お休みになりせえ...
太宰治 「津軽」
...果せるかな、使は包みを一つ取り出して、それをおれに渡すのである...
オシップ・ディモフ Ossip Dymoff 森鴎外訳 「襟」
...論文の審査員は経済畑からの高垣寅次郎教授と哲学畑からの山内得立教授であり、この二人が之を「学術的」に学位に値する(即ち大学院卒業程度乃至夫以上の学力あることの証拠)と認めて、教授会にかけた処、不思議なことに、いや果せる哉、出席教授二十一名の内、賛成十四票、賛成でもなく不賛成でもなくそうかと云って棄権でもない処の白票が七つ、という結果になって了った...
戸坂潤 「社会時評」
...この役目を果せるのは...
外村繁 「日を愛しむ」
...果せるかな恐ろしい異人の黒船は津々浦々を脅(おびや)かすと聞くけれど...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...果せるかな...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...果せる哉、『仁者は壽し...
中島徳藏 「巽軒先生喜壽の祝辭」
...果せるかな、人々は俺の醜悪な面相を恐れ忌み、様々に嘲笑するのが感じられるものだから、わずかに悲愁を支え、寂寥を慰めていた自己心までも残りなく崩壊しつくし、恋愛はおろか、他人の親和愛眷(あいけん)をまったく期待せぬようになり、顔を見られるのを厭って、毎日、家に閉籠っていた...
久生十蘭 「湖畔」
...おれは敗亡して、結構、ではやってみるがよかろうといって放りっぱなしておくと、果せるかな、叩きつけそこなって鮭をばらまく、そいつを大汗で掻き集めて罐へおしこむ、それをまたばらまくというえらい騒ぎになった...
久生十蘭 「南部の鼻曲り」
...どんな類いのあなたの用事でも一時間以内で果せるでしょう...
牧野信一 「吊籠と月光と」
...だってこころの何分の一かで果せるようなところもありますから...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...果せるかな今日は昨日よりも...
柳田国男 「山の人生」
...果せるかなビチビチした鯖を満載している...
夢野久作 「爆弾太平記」
...果せる哉(かな)です...
夢野久作 「一足お先に」
...ボンヤリしていると果せる哉(かな)だ...
夢野久作 「焦点を合せる」
...もしやと思って京阪神地方の煖房具店を調査すると果せる哉(かな)...
夢野久作 「老巡査」
...果せるかな...
吉川英治 「新・水滸伝」
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