...」果せる哉(かな)...
泉鏡花 「婦系図」
...勲章がほしくて手伝うとでも思っているのか」あんなことで事がおこせるのだろうかと北槻中尉は案じていたが、果せるかな、この「三月事件」は不発におわった...
高見順 「いやな感じ」
...果せるかな、使は包みを一つ取り出して、それをおれに渡すのである...
オシップ・ディモフ Ossip Dymoff 森鴎外訳 「襟」
...論文の審査員は経済畑からの高垣寅次郎教授と哲学畑からの山内得立教授であり、この二人が之を「学術的」に学位に値する(即ち大学院卒業程度乃至夫以上の学力あることの証拠)と認めて、教授会にかけた処、不思議なことに、いや果せる哉、出席教授二十一名の内、賛成十四票、賛成でもなく不賛成でもなくそうかと云って棄権でもない処の白票が七つ、という結果になって了った...
戸坂潤 「社会時評」
...この役目を果せるのは...
外村繁 「日を愛しむ」
...その約束がいつ果せるか...
豊島与志雄 「白塔の歌」
...どこをどっちへ行けばうまく逃げ果せるか...
中里介山 「大菩薩峠」
...果せるかな偶然の機會を捉へて爆發した...
萩原朔太郎 「中央亭騷動事件(實録)」
...卒業して見ると果せる哉...
久生十蘭 「魔都」
...果せるかな、マニーロフが耳にしたのは、ついぞこれまで人間の耳に囁かれたこともないような奇怪きわまる話であった...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...「果せるかな、聞きしにまさる肥沃の土地でござった、巨木うっ蒼(そう)と天地を覆(おお)うとりました、蘆葦(ろい)の茫々(ぼうぼう)としげれることは咫尺(しせき)を弁ぜざる有様、しかも、目の極まる限りは坦々(たんたん)とした原野つづき、その底を洗う清流はイシカリの支流なるわがトウベツ川でござった、水は掬(きく)してふくむべし魚介は捕えて喰(くら)うべし――でござった、この原始林を縦横するものは、熊径(くまみち)と鹿路のみと見受けましたが」「山には野鳥が翔(かけ)っていましょう」「左様――」と阿賀妻はほほ笑んだ、「野には、ふくいくと匂う茸(きのこ)が今を限りと簇(むらが)り生えていましたな」熊笹の芽、ワラビ、水蕗(みずぶき)などがとりわけて目に浮ぶのである...
本庄陸男 「石狩川」
...「西洋の眼」を借りずとも充分独自の仕事が果せる...
柳宗悦 「民藝四十年」
...果せるかなその次の日の昼過ぎには...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...なん年経って望みが果せるかわからない...
山本周五郎 「初蕾」
...果せる哉(かな)...
夢野久作 「戦場」
...そうした責任も君はその通りに果せるか」「……そんな責任が本当に……僕にあるんでしょうか」「それはその場になって...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...果せるかなビチビチした鯖を満載している...
夢野久作 「爆弾太平記」
...「わしに果せるお役目はまずそれくらいかも知れんな...
吉川英治 「新書太閤記」
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