...ひょろひょろと頬(ほお)を掠(かす)めると思うと――(今もおくれ毛が枕に乱れて)――身体(からだ)が宙に浮くのであった...
泉鏡花 「悪獣篇」
...あれをお出しな」華大媽(かたいま)は枕の下をさぐって一包(つつみ)の銀貨を取出し...
魯迅 井上紅梅訳 「薬」
...枕の木をつらぬいて床におちたのを...
江戸川乱歩 「妻に失恋した男」
...枕もとの硯箱を引き寄せて...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...私の枕もとにひびいてくるその足音のなかで...
高見順 「如何なる星の下に」
...枕許(まくらもと)へお呼びになった...
橘外男 「グリュックスブルグ王室異聞」
...京子は細君の枕頭にしやがむやうにして赤ん坊を覗き込んだ...
田中貢太郎 「あかんぼの首」
...枕許に坐っていた...
外村繁 「夢幻泡影」
...突然烈しき痢病(りびょう)に冒され半月あまり枕につきぬ...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...いい気持だ」木理(もくめ)の曝(ざ)れた湯槽(ゆぶね)の桁(けた)を枕にして...
中里介山 「大菩薩峠」
...なおも、逆上気味(のぼせぎみ)のお勢をなだめて訊いてみると、泥棒は暁方(あけがた)入ったものらしく、お勝手口をコジ開けて、お勢の枕元から、金唐革(きんからかわ)の小さい手箱を持出し、路地で打ち割って、その中の富札だけを持って逃げ出したというのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...襖(ふすま)一つ隔てた隣室に眠っていた大川氏はこの声に目をさましいきなり枕元においてあったピストルを携えて隣室に躍(おど)りこんだのである...
浜尾四郎 「黄昏の告白」
...枕もとで鯉がはねる...
林芙美子 「新版 放浪記」
...行子は頭の下でたえず熱い枕を廻しながら...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...(三月十九日)頭の黒い真宗(しんしゅう)坊さんが自分の枕元に来て...
正岡子規 「墨汁一滴」
...枕から耳が上ったふとその拍子に...
横光利一 「旅愁」
...枕の音とともに、うーむとわれ知らず呻(うめ)いた...
吉川英治 「新書太閤記」
...――武蔵は、手枕の上から、眼を開けて、彼の顔を、まじまじと見ていたのである...
吉川英治 「宮本武蔵」
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