...昔は凧の絵の赤い色は皆な蘇枋(すおう)というもので描いたので...
淡島寒月 「凧の話」
...火の上へ蘇枋を入れた皿を掛けて...
淡島寒月 「凧の話」
...面(おもて)蘇枋(すおう)に髣髴(さもに)たるが...
巌谷小波 「こがね丸」
...貧乏だった徐枋は...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...いま片枝は濃くつややかにて蘇枋(すおう)のやうに見えたる」というのは光線の効果が目にとまったものらしい...
津田左右吉 「偶言」
...蘇枋(すおう)の花房の枝の先に若葉がちょぼちょぼと散点して見え出す...
寺田寅彦 「五月の唯物観」
...蘇枋染(すおうぞめ)で本紅染(ほんもみぞめ)を模(も)する法...
寺田寅彦 「西鶴と科学」
...台東から枋寮へ至るバスの休憩所の一つとなっている...
豊島与志雄 「台湾の姿態」
...蘇枋染(すおうぞめ)を絞(しぼ)って叩きつけたようなその真中に突伏(つっぷ)した年増の遊女――それは昨晩...
中里介山 「大菩薩峠」
...蘇枋(すおう)の色に沸(わ)き返る...
夏目漱石 「夢十夜」
...あれは蘇枋(すはう)...
堀辰雄 「おもかげ」
...マスウノススキは真蘇枋(マスオウ)ノススキが略せられ穂の色の赤いのを呼んだものである...
牧野富太郎 「植物記」
...それは蘇枋(スオウ)で染めたもので本当の茜染めよりはその色が赤かったのである...
牧野富太郎 「植物記」
...今をさかりの花蘇枋(はなすおう)や粉米桜(こごめざくら)や連翹(れんぎょう)や金雀枝(えにしだ)や辛夷(こぶし)や白木蓮の枝々を透してキラキラ朝日がかがやきそめてきていた...
正岡容 「小説 圓朝」
...下に蘇枋、その上に朱、更に渋、之に油引し、更に水洗によつて発色を促した...
柳宗悦 「和紙十年」
...後者は蘇枋染)当代無双の染物家として...
柳宗悦 「和紙十年」
...ご存じのとおり此書は、楚の屈平、漢の諸葛亮、晋の陶潜、唐の顔真卿、宋の文天祥、宋の謝枋得、処士劉因、明の方孝孺、以上八人を選んでその最期の詞(ことば)をあげ、義烈の精神をあきらかにしたものです...
山本周五郎 「菊屋敷」
...五月礼讃(らいさん)五月(ごぐわつ)は好(よ)い月、花の月、芽の月、香(か)の月、色(いろ)の月、ポプラ、マロニエ、プラタアヌ、つつじ、芍薬(しやくやく)、藤(ふぢ)、蘇枋(すはう)、リラ、チユウリツプ、罌粟(けし)の月、女の服のかろがろと薄くなる月、恋の月、巻冠(まきかんむり)に矢を背負ひ、葵(あふひ)をかざす京人(きやうびと)が馬競(うまくら)べする祭月(まつりづき)、巴里(パリイ)の街の少女等(をとめら)が花の祭に美(うつ)くしい貴(あて)な女王(ぢよわう)を選ぶ月、わたしのことを云(い)ふならばシベリアを行(ゆ)き、独逸(ドイツ)行(ゆ)き、君を慕うてはるばるとその巴里(パリイ)まで著(つ)いた月、菖蒲(あやめ)の太刀(たち)と幟(のぼり)とで去年うまれた四男(よなん)目のアウギユストをば祝ふ月、狭い書斎の窓ごしに明るい空と棕櫚(しゆろ)の木が馬来(マレエ)の島を想(おも)はせる微風(そよかぜ)の月、青い月、プラチナ色(いろ)の雲の月、蜜蜂(みつばち)の月、蝶(てふ)の月、蟻(あり)も蛾(が)となり、金糸雀(かなりや)も卵を抱(いだ)く生(うみ)の月、何(なに)やら物に誘(そゝ)られる官能の月、肉の月、ヴウヴレエ酒の、香料の、踊(をどり)の、楽(がく)の、歌の月、わたしを中に万物(ばんぶつ)が堅く抱きしめ、縺(もつ)れ合ひ、呻(うめ)き、くちづけ、汗をかく太陽の月、青海(あをうみ)の、森の、公園(パルク)の、噴水の、庭の、屋前(テラス)の、離亭(ちん)の月、やれ来た、五月(ごぐわつ)、麦藁(むぎわら)で細い薄手(うすで)の硝杯(こつぷ)からレモン水(すゐ)をば吸ふやうなあまい眩暈(めまひ)を投げに来た...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
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