...すこしはなれてマブの花・地べたべつとりと浜朝顔の強い風・やけあと何やら咲いてゐる・わがまゝきまゝな旅の雨にはぬれてゆく・松のなか墓もありて・つかれた顔を汐風にならべて曲馬団の女らやたらにとりちらかしてお祭の雨となつた雨となつた枇杷の実の青い汐風・山しづかにしてあそぶをんなつたうてきては電線の雨しづくしては警察署の木の実のうれてくる五月十六日まだ降つてゐる...
種田山頭火 「行乞記」
......
種田山頭火 「行乞記」
...・あぶらむしおまへのひげものびてゐるあかつきのあかりで死んでゆく虫で・水音のしんじつ落ちついてきたもうはれて葉からこぼれる月のさやけさ柿がうれてたれて朝をむかへてゐる□・露も落葉もみんな掃きよせる・秋の朝の土へうちこみうちこむ・朝の秋風をふきぬけさせてをく・秋空の電線のもつれをなをさうとする・枇杷から柿へ...
種田山頭火 「其中日記」
...とう/\雪がふりだした裏藪のしづもり・まづ枇杷の葉のさら/\みぞれして・けふいちにちはものいふこともなかつたみぞれ・けさから麦飯にしてみぞれになつて・雪晴れ...
種田山頭火 「其中日記」
...八百屋の店頭に苺や枇杷がならべられて...
種田山頭火 「其中日記」
...オルガンがうたふ枇杷のうつくしさ彼女は笑はない・あれから一年の草がしげるばかり六月二十四日降る...
種田山頭火 「其中日記」
...水仙の芽かよあれこれ食べるものはあつて風の一日水音しんじつおちつきました茶の木も庵らしくひらいてはちり誰か来さうな空が曇つてゐる枇杷の花落葉ふる奥ふかく御仏を観る雪空の最後の一つをもぐ其中雪ふる一人として火を焚くぬくい日の...
種田山頭火 「草木塔」
...枇杷を食べてゐた...
徳田秋聲 「草いきれ」
...その隣に枇杷の木もあるが...
外村繁 「澪標」
...それに枇杷色の兵児帯をしめていた...
豊島与志雄 「絶縁体」
...ふと枇杷の実の黄いろく熟しているのを見付(みつけ)て...
永井荷風 「枇杷の花」
...枇杷の核は見上るばかりの大木となっていた...
永井荷風 「枇杷の花」
...枇杷島(びわじま)の青物市場へ青物をつけて行った一頭の馬が...
中里介山 「大菩薩峠」
......
長塚節 「長塚節歌集 中」
...総体薄枇杷色(うすびわいろ)で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...同じ部に枇杷(びわ)の木に夏の日永き田舎かな太虚(たいきょ)とある...
正岡子規 「病牀六尺」
...もし夏の日の永き田舎の無聊(ぶりょう)なる様を言はんとならば実のない枇杷の木でなくては趣が写らぬ...
正岡子規 「病牀六尺」
...時々この小鳥の群がその枇杷の木を離れて附近の山の櫟林に入り込んでゐるのを見ます...
若山牧水 「樹木とその葉」
便利!手書き漢字入力検索