...毎日毎日板子一枚の下は地獄のような境界に身を放(な)げ出して...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...そして人一人、板子一枚、水面へ浮び出ては来なかつた...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...沖に泛んで居る漁師が運送船の通過するのを見て板子の下から魚を出しては海へはらり/\と投げて大手を擴げる...
長塚節 「開業醫」
...漁師はそれでも皆板子を持つて波に突きのめされつゝ泳いだ...
長塚節 「隣室の客」
...心は大浪(おおなみ)にのる一枚の板子(いたご)のように揺れる...
夏目漱石 「草枕」
...私は板子を渡って尾道行きの船へ乗った...
林芙美子 「新版 放浪記」
...板子といっしょに朽ちさせるより...
久生十蘭 「重吉漂流紀聞」
...潮来(いたこ)町(昔は潮来(いたこ)を板子(いたこ)と書いた)は常陸行方(なめかた)郡の水郷で...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...同時に灰色の煙がムックリと小舟の全体を引っ包んだ中から、友吉おやじの手か、足か、顔か、それとも舷(ふなべり)か、板子か、何だかわからない黒いものが八方に飛び散ってポチャンポチャンと海へ落ちた...
夢野久作 「爆弾太平記」
...彼等の板子の狹い家の周圍で演じられるのを...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...板子一枚助けてみたところで...
吉川英治 「江戸三国志」
...つぶやきながら板子の焚きつけを持って綺麗な火の子をほじり立てる...
吉川英治 「江戸三国志」
...小船の板子(いたご)を四...
吉川英治 「神州天馬侠」
...小船の板子(いたご)をしいた死の座(ざ)へ伊那丸(いなまる)をひかえさせた...
吉川英治 「神州天馬侠」
...不景気面(づら)な板子稼業(いたごかぎょう)にぼやいて...
吉川英治 「新・水滸伝」
...かねてから三衣袋に潜(ひそ)ませておいた黒奉書(くろぼうしょ)の袷(あわせ)一枚、風をはらませてフワリと身にまとい、目立たぬ色の膝行袴(たっつけ)をりりしくうがち、船底の板子を二、三枚はねのけた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...船底の板子を上げていた...
吉川英治 「松のや露八」
...(何をしているのか?)と思うまに、板子の下から、一人の武士が背を伸ばした...
吉川英治 「松のや露八」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??