...松風の音 こうこう...
芥川龍之介 「往生絵巻」
...その又松風の音の中には虫の声もかすかにまじっていた...
芥川龍之介 「蜃気楼」
...お茶人が松風の音を聞きながらせまい茶室に座しているのも...
上村松園 「棲霞軒雑記」
...ごーっと鳴る松風の音がその後を蔽いかくした...
豊島与志雄 「月明」
...今日はこころいっぱい表わしてみたい松風の音の気分が...
中井正一 「美学入門」
...空の星が目に立ち松風の音が聞えて...
永井荷風 「羊羹」
...思うにこれは主人の病気で贅沢(ぜいたく)な人が竜文堂(りゅうぶんどう)に鳴る松風の音を聞かないと寝つかれないごとく...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...すると松風の音は一層すがすがしい...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...燗鉄瓶がその上で松風の音を立てている...
久生十蘭 「魔都」
...訪ふものとてもない昔の夢の跡に松風の音が高い...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...同じ風でも、松風の音、木枯の音、また撫でるような柳の風、さらさらと音のする笹の葉など、一つ一つに異った趣きのあるものである...
宮城道雄 「音の世界に生きる」
...かれがれに鳴く虫の声と松風の音が混じり合い...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...松風の音も荒かった山おろしに比べれば穏やかでよい住居(すまい)としているようには今夜は思われずに...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...峯から峯をわたって来る松風の音ばかりだった...
横光利一 「旅愁」
...巌上に唯だ松風の音のみを聞くのは幽寂である...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...そして松風の音だった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...山深いところなどで不圖(ふと)聞きつけた松風の音や遠い谷川のひゞきに我等はともすると自分の寄る邊ない心の姿を見るおもひのすることがある...
若山牧水 「樹木とその葉」
...時々松風の音をなつかしく思い起こすことがある...
和辻哲郎 「松風の音」
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