...」前後左右どちらを見ても、ただ杳々茫々、脚下を覗いてもやはり際限なく薄みどり色のほの明るさが続いてゐるばかりで、上を仰いでも、これまた蒼穹に非ざる洸洋たる大洞、ふたりの話声の他には、物音一つ無く、春風に似て春風よりも少しねばつこいやうな風が浦島の耳朶をくすぐつてゐるだけである...
太宰治 「お伽草紙」
...」前後左右どちらを見ても、ただ杳々茫々、脚下を覗いてもやはり際限なく薄みどり色のほの明るさが續いてゐるばかりで、上を仰いでも、これまた蒼穹に非ざる洸洋たる大洞、ふたりの話聲の他には、物音一つ無く、春風に似て春風よりも少しねばつこいやうな風が浦島の耳朶をくすぐつてゐるだけである...
太宰治 「お伽草紙」
...右には遠州洋(えんしゅうなだ)杳(よう)として天に連なる...
寺田寅彦 「東上記」
...夕陽海に沈んで煙波杳(よう)たる品川の湾に七砲台朧(おぼろ)なり...
寺田寅彦 「東上記」
...其処に佇んだ彼女の心には云い知れぬ杳(はるか)な思いが宿った...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...漠然(ばくぜん)として杳(はる)かで...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...杳(はるか)な心にすこしの蟠(わだかま)りのないときだけ...
夏目漱石 「思い出す事など」
...終日杳相同...
夏目漱石 「思い出す事など」
...去る波の今書いた真を今載(の)せて杳然(ようぜん)と去るを思わぬが世の常である...
夏目漱石 「虞美人草」
...どの女も、蒲団の中の匂ひは同じなのだなと、直吉は、遠く杳かに、どよめくやうな、万歳々々の声を耳にしてゐた...
林芙美子 「瀑布」
...ワラタ号に関する手がかりは杳(よう)として挙がらなかった...
牧逸馬 「沈黙の水平線」
...彼はあの翌朝早々と丹沢山中の某所に石斧の採集に赴いたといふ下婢の伝へで杳としてその行方がわからなかつた...
牧野信一 「冬物語」
...「杳然寸耗なし」である...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...杳(よう)として消息を絶っていた者……と申しましたら...
夢野久作 「キチガイ地獄」
...その美徳は杳(よう)として万生を薫化しております...
夢野久作 「鼻の表現」
...それ以後又、杳として、彼の足跡はあまり分つてゐない...
吉川英治 「折々の記」
...杳(よう)として消息がない...
吉川英治 「新書太閤記」
...杳(よう)として...
吉川英治 「宮本武蔵」
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