...その後杳(えう)として消息を聞かないが...
芥川龍之介 「戯作三昧」
...山路を三里素足で歩いた方が杳(はる)か優(ま)しだ...
石川啄木 「天鵞絨」
...博士の消息は杳(よう)として聞えなかった...
海野十三 「キド効果」
...その行動も事件発生の三週間前から杳(よう)として謎に包まれているのにも拘(かかわ)らず...
海野十三 「地球発狂事件」
...朝鮮へ出発して以来杳(よう)として消息のない...
江戸川乱歩 「双生児」
...さがしてみたが杳として手がかりがなかった...
田中貢太郎 「竹青」
...頭目モーナルーダオはその後杳(よう)として行方がわからなかったが...
中村地平 「霧の蕃社」
...十一十二もつい紙上へは杳(よう)たる有様で暮してしまった...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...杳として行方を知らず...
萩原朔太郎 「氷島」
...彼はあの翌朝早々と丹沢山中の某所に石斧の採集に赴いたといふ下婢の伝へで杳としてその行方がわからなかつた...
牧野信一 「冬物語」
...豈計らんや其後は杳として便りもなく……」――「……定めし御勉学に専念中のこととは存ずれども――」ハガキは私の田舎からの母親の文字だつた...
牧野信一 「真夏の朝のひとゝき」
...今井は杳然(ようぜん)として死(しん)だ...
松崎天民 「友人一家の死」
......
三好達治 「間花集」
...訓みを同じくして杳樹(はるき)をつけたのもある...
柳田国男 「故郷七十年」
...杳(よう)としてその消息をたったままとなり来りました...
吉川英治 「江戸三国志」
...その武蔵の名は杳(よう)としてこの江戸には聞かなかった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...ついに杳(よう)として三十幾年か...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...あたりに立っている松の木も茅萱(ちがや)の穂も全く現代のものではない様な杳かな杳かな心地になって来るのであった...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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