...吉助の消息は杳(よう)として誰も知るものがなかった...
芥川龍之介 「じゅりあの・吉助」
...彼の才あつて然も杳(えう)として天下に知られざるは心惜しき思せらる...
石川啄木 「閑天地」
...杳(よう)として消息が入らなかった...
海野十三 「恐怖の口笛」
...姿を消して杳(よう)として行方が知れなくなったこの麗人の身の上を...
海野十三 「蠅男」
...朝鮮へ出発して以来杳(よう)として消息のない...
江戸川乱歩 「双生児」
...」前後左右どちらを見ても、ただ杳々茫々、脚下を覗いてもやはり際限なく薄みどり色のほの明るさが續いてゐるばかりで、上を仰いでも、これまた蒼穹に非ざる洸洋たる大洞、ふたりの話聲の他には、物音一つ無く、春風に似て春風よりも少しねばつこいやうな風が浦島の耳朶をくすぐつてゐるだけである...
太宰治 「お伽草紙」
...杳(よう)として消息が知れないから...
中里介山 「大菩薩峠」
...かくて杳窕(ようちょう)たる時の霞の奥にあることが想像されるのである...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...茶色の雨の中を私は耳をおさえて歩く耳が痛い 痛いのよ雨中の烏が光るもがきながら飛ぶ杳(はる)かな荒野の風の夢肺が歌う 短い景色の歌なの...
林芙美子 「新版 放浪記」
...別れた人なぞは杳(はる)かにごま粒ほどの思い出となり果てた...
林芙美子 「新版 放浪記」
...三日になるが杳(よう)として顎十郎の消息が知れない...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...ナホモ杳カナ穹窿ヲ犇イテヰルノカ...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...クルーゼ夫人の方は戦後に杳として消息が知れない...
三好達治 「オルゴール」
...訓みを同じくして杳樹(はるき)をつけたのもある...
柳田国男 「故郷七十年」
...執行猶予(しっこうゆうよ)をされたことだけは聞いたが……以来杳(よう)として消息も聞かずに来たんじゃ...
吉川英治 「かんかん虫は唄う」
...いらい杳(よう)として御消息もなくなった」「へい」「おまえら山荘の召使は...
吉川英治 「私本太平記」
...杳(よう)として消息がない...
吉川英治 「新書太閤記」
...杳(よう)として誰ひとり知っていない...
吉川英治 「新・水滸伝」
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