...既に紅を東天に潮したるを表すものにあらずや...
芥川龍之介 「木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)」
...貞婦良人(おっと)の病を苦慮し東天いまだ白まざる前に社壇に願(がん)を込むる処これ神の教会ならずや...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...東天微紅を帶び始めけるが...
大町桂月 「妙義山の五日」
...いち早くも東天に揺曳する暁の仄かなおとづれを感知するその感性は...
薄田泣菫 「独楽園」
...東天は俄かに青緑の空と...
鷹野つぎ 「窓」
...勤勉な小谷さんはたいていまだ東天の美しい時分に私のベッドに出勤してパチリと電灯をつけた...
鷹野つぎ 「窓」
...太陽は東天より出でて西に沈む...
津田左右吉 「流れ行く歴史の動力」
...直(ただ)ちに東天に向って怪雲を掃わん」...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...東天が白んだばかりで日光はまだささない頃...
豊島与志雄 「高千穂に思う」
...かくて東天紅(とうてんこう)になり...
中里介山 「大菩薩峠」
...東天は吐き出だしてゐる楽しい夕べのかのかをり...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...東天紅(とうてんこう)ともホオホケキョーとも鳴く烏はねえ」「黙って聴け」「ヘエ――」「どこの鳥屋にも...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...將に白まむとする東天に向へるのを望みて...
原勝郎 「足利時代を論ず」
...お前の歌はフエニキアの海賊が発見した東天の星と同じく決して私の眼の先からは消えはせぬ...
牧野信一 「歌へる日まで」
...いま初めて私は私の心のなかに夜明けの鶏(とり)が東天紅と刻(とき)を告げているのがまざまざと感じられてきました...
正岡容 「初看板」
...東天漸(ようや)く紅(くれない)ならむとする折しもあれ...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...わずかに東天(しののめ)の空が紅い...
吉川英治 「三国志」
...その元旦は、まだ暁闇深く、朝の月を残していたが、東天の雲には早、旭日の光がさし昇りかけていた...
吉川英治 「三国志」
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