...顔を杏(あんず)のやうに赧(あか)くした...
薄田泣菫 「茶話」
...暖(あたたか)な杏(あんず)の花(はな)の香(におい)のする希臘(ギリシヤ)に行(い)ってお伝(つた)えなさい...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六号室」
...堂のわきにあるあの大木の銀杏(いちょう)が...
寺田寅彦 「藤の実」
...杏(あんず)の缶詰が二個...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...久し振りに東京の街の有様を見、荷物にゴッタ返した闇い車内、スッカリ変った服飾など見てウタタ感慨が深かったが、夜があけると世界は一変して、妙なる枝振りの林檎、桃、水蜜、杏、牡丹桜八重桜(欝金もあり)、散り残りの山桜、木蓮、海棠さては菜の花、桐の若葉、紅葉など、春をこの一瞬に集めている...
戸坂潤 「獄中通信」
...ふと先生がわざわざ注意してくれた銀杏(いちょう)の大樹(たいじゅ)を眼(め)の前に想(おも)い浮かべた...
夏目漱石 「こころ」
...時勢の推移上銀杏返(いちょうがえ)しがすたれて束髪(そくはつ)が流行すると同じように...
夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
...杏斎(きょうさい)先生が持って行った徳利二本の毒が違って居るわけだよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...杏子(あんず)のジャムが入っていた...
古川緑波 「甘話休題」
...杏(あんず)及び青き柑(かん)類の煮(に)たる者...
正岡子規 「墨汁一滴」
...たいがい能く熟れ切った杏の萼(がく)は弱くなっていて...
室生犀星 「幼年時代」
...仮に杏春が江戸に至るに...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...杏春が継嗣を辞したのである...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...又杏春が他年一家を樹立して宗家と相譲らざるに至つたことも...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...諸木(もろき)は何(なに)を思へるや、銀杏(いてふ)、木蓮(もくれん)、朴(ほゝ)、楓(かへで)、かの男木(おとこぎ)も、その女木(めぎ)も痩(や)せて骨だつ全身を冬に晒(さら)してをののきぬ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...おん寺の銀杏の大木...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...大連第一位の此楼の室内配置は可なり杏花楼と異つてゐるやうに感ぜられた...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...銀杏(ぎんなん)のようなつぶらな眼は...
吉川英治 「新書太閤記」
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