...くずれた土塀、朽ちた門、それを這入ると、境もなくてすぐ裏庭が見えているのだが、不思議千万なことには、その庭が、まるで耕した様に、一面に掘り返されて、少しばかりの樹木も、あるものは倒れ、あるものは根こそぎにして放り出してあるといった塩梅(あんばい)で、目も当てられぬ乱脈であった...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...恰も内部の朽ちた枯木が些細の風にも倒れる如くに...
丘浅次郎 「人類の将来」
...枯れ朽ちた椎の木の上皮に養いを取って...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...朽ちた木の株の下から...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...三藏は彼の朽ちた門を出て...
高濱虚子 「俳諧師」
...その中に樹の根や草の根の枯れ朽ちたのが散在している...
寺田寅彦 「浅間山麓より」
...竹の朽ちた建仁寺垣(けんにんじがき)に...
徳田秋声 「黴」
...しかし東の裏は朽ちた木塀に劃されて...
外村繁 「澪標」
...朽ちた丸木橋の下では手拭を冠(かぶ)った女たちがその時々の野菜を洗って車に積んでいる...
永井荷風 「葛飾土産」
...それをば諸車止(しょしゃどめ)と高札(こうさつ)打ったる朽ちた木の橋から欄干(らんかん)に凭(もた)れて眺め送る心地の如何(いか)に絵画的であったろう...
永井荷風 「深川の唄」
...庭園のまん中ほどに一株の大きなシカモアの木が白っぽく朽ちた二股の幹を七八尺の高さに折れ残して枯れ立っている...
野上豊一郎 「処女の木とアブ・サルガ」
...まだ老い朽ちたと言う年でもなく...
野村胡堂 「葬送行進曲」
...朽ちた材木などが散らかっていました...
林芙美子 「クララ」
...朽ちた丸木橋を渡って行かなければならないのが怖かった...
正宗白鳥 「軽井沢にて」
...わたしは方々で崩れ朽ちた家々も見たし...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...どこから吹き寄せるか奥の方はこの藻ばかりで朽ちた土は沈んで干潟となり...
柳田国男 「雪国の春」
...――朽ちた板戸の破(わ)れ目(め)から...
吉川英治 「親鸞」
...朽ちた落葉の下からも...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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