...徒らに人に物を思はせるのは本意でない...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...「姉さんさえ承知ならッて――大丈夫よ」「………」青木は、しかしそう聴いてかえってこれを残念がり、実は本意でない、お前はそんなことをされても何ともないほどの薄情女かと、立っている吉弥の肩をしッかりいだき締めて、力一杯の誠意を見せようとしたこともあるそうだ...
岩野泡鳴 「耽溺」
...その深井というのが自分の本意でない役を演じながら...
岩野泡鳴 「猫八」
...この名を墓標に勒するは故人の本意でないかも知れぬので...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...それは私の本意でないから...
谷崎潤一郎 「細雪」
...罪なき人をひとりでもよけいころすことは本意でないと仰っしゃって...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...庸三はあの記事が自分の本意でないことを訴えた...
徳田秋声 「仮装人物」
...言わんとして言わでやむは武士の本意でない...
中里介山 「大菩薩峠」
...所労(しょろう)の人に迷惑をかけるのも本意でないから...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...」かう云つて白川は自分の本意でない方向へ話が外(そ)れて行つて...
平出修 「瘢痕」
...仙人を見縊(みく)びるのは本意でないが...
柳田国男 「山の人生」
...一族縁類に迷惑をかけるのは本意でない...
山本周五郎 「季節のない街」
...今日このような別れをなすは本意でないが...
吉川英治 「黒田如水」
...彼の本意でない戦(いくさ)だし...
吉川英治 「私本太平記」
...しかし自分の好みといえ、それは工芸家の技術を見たいために作らせたもので、かかる日の実用に着るのは、彼の本意でない...
吉川英治 「私本太平記」
...そうそう無限に安土からそれを仰ぐのも秀吉の本意でない...
吉川英治 「新書太閤記」
...本意でない敵を敵とした気もしたであろう...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
...世話になっているのも本意でないし...
吉川英治 「宮本武蔵」
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