...悪丁寧(わるでいねい)な嫌味(いやみ)のありったけを並べて御出でなさる始末(しまつ)なんです...
芥川龍之介 「奇怪な再会」
...三藏は寧ろ其末路を思うて哀れを感じた...
高濱虚子 「俳諧師」
...(御跡したいて我はゆくなり)南方の蛮人でさえいまは軽蔑している殉死の悪習を、つい最近、明治の末期まで、否、太平洋戦争中にも美徳と信じていた日本人...
田中英光 「さようなら」
...十一月の末というのにまだ生き残って...
豊島与志雄 「不肖の兄」
...梅雨晴の静な午後と秋の末の薄く曇った夕方ほど物思うによい時はあるまい……...
永井荷風 「花火」
...頻りに始末を急いでいるのだということであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...それが秋の末に一夜そつと眞白な霜が天からおりたら理窟はなしにぐつたりと靡いてしまつたのである...
長塚節 「芋掘り」
......
中野鈴子 「一家」
...津田は竪横(たてよこ)に走る藍色(あいいろ)の枠(わく)の上に崩(くず)れ散ったこの粉末に視覚を刺撃されて...
夏目漱石 「明暗」
...そういう浅薄な野心は毫末(ごうまつ)もない...
新渡戸稲造 「ソクラテス」
...永禄の末にはまだ東國に少く...
原勝郎 「日本史上の奧州」
...慰めたいにも本末(もとすゑ)をしらぬから方がつかぬ...
樋口一葉 「にごりえ」
...長旅の末にわらじを切らしてはだしになり...
久生十蘭 「奥の海」
...金五郎と、新之助とは、肩をすぼめるようにして、末席に坐った...
火野葦平 「花と龍」
...書かぬ文字言はぬ言葉も相知れど如何すべきぞ住む世隔る しみじみとこの六月程物云はでやがて死別の苦に逢へるかな 信濃路の明星の湯に友待てば山風荒れて日の暮れし秋 我泣けど君が幻うち笑めり他界の人の云ひがひもなく から松の山を這ひたる亡き人の煙の末の心地する雨休みなく地震(なゐ)して秋の月明にあはれ燃ゆるか東京の街大正十二年秋の関東大震災は今日から見れば大したことでもなかつたが...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...その頃生きていた一番末の四つの弟が泣き出す...
「海流」
...後の始末は、菖蒲の寮の御方に、どうにでもして貰うから、拙者のことは心配せずに、どこへでも立ち退きねえ、時節が来れば、またどこかで廻り会わねえものでもない」「兄哥、このご恩は忘れません……」「べらぼうな、男同士の間には、恩の貸し借りはねえ筈だ...
吉川英治 「剣難女難」
...大阪以来の顛末(てんまつ)は承知していたが...
吉川英治 「鳴門秘帖」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??