...未練なくあたりの人影に交って...
芥川龍之介 「路上」
...そしたら俺(わ)しもお前に未練なく兜(かぶと)を脱ぐがな」父のこの言葉ははっしと彼の心の真唯中(まっただなか)を割って過ぎた...
有島武郎 「親子」
...私がもしあの場合処女を犠牲にしてパンを得ると仮定したならば私は寧(むし)ろ未練なく自分からヴアージニテイを逐(お)ひ出してしまふ...
伊藤野枝 「貞操に就いての雑感」
...もう下りるのも上るのも同じく命がけだと覚悟を極めて未練なく登ることにする...
高浜虚子 「斑鳩物語」
...我々の過去を未練なく脱いで...
「岡本一平著並画『探訪画趣』序」
...未練なく傾斜の角度を抜きにしたものである...
夏目漱石 「坑夫」
...それほど容易(たやす)く右左へ未練なく離れ離れになり得るものか...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...そして小石か何ぞのように未練なく落ちてしまいました」「とうとう飛び込んだのかい」と主人が眼をぱちつかせて問う...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...わしはここまできたついでに、大山(だいせん)の麓にある従兄のところへ行ってみましょう」見えない大きな目をパチパチさせて浮世丸は、ガラス瓶のなかにほんの二分ばかり残っている焼酎を欠け茶碗へ酌いで美味そうにチビチビやりながら、未練なく答えた...
正岡容 「寄席」
...二人をして未練なく離れしめ得るであらうと思はれるほど...
水野仙子 「脱殼」
...これはいけないと見ると未練なくサッサと中途から引きかえして来る...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...これで未練なく消えてしまったわけです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...いずれこの人生を未練なく失うことができるように...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...弦之丞は未練なく...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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