...木戸銭は現在では一般的に使われる熟語ではありません...
...我我は面白いと思はないものに一銭の木戸銭(きどせん)をも抛(なげう)つ筈はない...
芥川龍之介 「続野人生計事」
...なんにしても開け放し木戸銭なしのことなれば...
井上円了 「おばけの正体」
...大入(おほいり)だ評判(ひやうばん)だ四版(はん)だ五版(ばん)だ傑作(けつさく)ぢや大作(たいさく)ぢや豊年(ほうねん)ぢや万作(まんさく)ぢやと口上(こうじやう)に咽喉(のど)を枯(か)らし木戸銭(きどせん)を半減(はんまけ)にして見(み)せる縁日(えんにち)の見世物(みせもの)同様(どうやう)...
三文字屋金平 「為文学者経」
...その中にわずかな木戸銭で入り込んだせいぜい十人かそこいらの見物のためにこの超人的演技を見せていたいわゆる山男というのはまだ三十にもならないくらいの小柄な赭(あか)ら顔(がお)の男であったが...
寺田寅彦 「柿の種」
...六お稲荷さんへ行かない日にはきたない財布にお賽銭と木戸銭用の小銭を入れて牢屋の原へつれてゆく...
中勘助 「銀の匙」
...木戸銭を払うて入る...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...こいつをひとつ見せてやろう」「そうしておくんなさい」「俺もこいつをひとつ見たいと思っていたのだ」二十四文ずつの木戸銭を払って...
中里介山 「大菩薩峠」
...後客(あときゃく)は木戸銭を払っても見ることができない...
中里介山 「大菩薩峠」
...こいつは少し高い木戸銭だが――」悪魔の顔は又笑います...
野村胡堂 「大江戸黄金狂」
...木戸銭を払って、存分におどかされて、ハアハア言いながら喜んだのは、当時の江戸っ子の物好きなところでしょう...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...オイ木戸銭々々々」またけたたましい下足番の声が追い駈けてきた...
正岡容 「小説 圓朝」
...この八幡の興行でお客様が木戸銭の代わりに干した杏(あんず)の袋入りや...
正岡容 「初看板」
...名優以上の木戸銭や纏頭(はな)を取っているものがザラにいるのには驚かされるのであります...
夢野久作 「鼻の表現」
...戸板にかこまれた木戸銭の影も斑(まば)らで...
吉川英治 「江戸三国志」
...木戸銭は先にくれてやるから...
吉川英治 「剣難女難」
...木戸銭(きどせん)をだしていない大道芸(だいどうげい)のせいでもあろうが...
吉川英治 「神州天馬侠」
...「木戸銭を返せ! 銭で返すなり...
吉川英治 「新・水滸伝」
...――木戸銭は安いもんだよ...
吉川英治 「松のや露八」
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