...木戸銭は現在では一般的に使われる熟語ではありません...
...我我は面白いと思はないものに一銭の木戸銭(きどせん)をも抛(なげう)つ筈はない...
芥川龍之介 「続野人生計事」
...六お稲荷さんへ行かない日にはきたない財布にお賽銭と木戸銭用の小銭を入れて牢屋の原へつれてゆく...
中勘助 「銀の匙」
...木戸銭安く中売(なかうり)の婆(ばば)酒珈琲(コーヒー)なぞ売るさまモンマルトルの卑しき寄席に異(ことな)らねど演芸は極めて高尚に極めて新しき管絃楽またはオペラの断片にて毎夜コンセルヴァトアルの若き楽師来(きた)つて演奏す...
永井荷風 「書かでもの記」
...こいつをひとつ見せてやろう」「そうしておくんなさい」「俺もこいつをひとつ見たいと思っていたのだ」二十四文ずつの木戸銭を払って...
中里介山 「大菩薩峠」
...木戸銭をお払い下さいまし」と言ったから市五郎納まらないで...
中里介山 「大菩薩峠」
...後客(あときゃく)は木戸銭を払っても見ることができない...
中里介山 「大菩薩峠」
...こいつは少し高い木戸銭だが――」悪魔の顔は又笑います...
野村胡堂 「大江戸黄金狂」
...ともかく二日目から木戸銭を取らないばかりでなく...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...二銭の木戸銭で見せていた...
長谷川時雨 「市川九女八」
...綾之助はこのおりこそと木戸銭がわりに手拭(てぬぐい)二筋ずつ客に持ってきてもらう演芸会を開き...
長谷川時雨 「竹本綾之助」
...田舎の客というものは、この声を聞くとみな正体がなくなるほど泣き出して、木戸銭のほかに、またいくらか「鰯代」を皿へ投げ込んで行ってくれます...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...オイ木戸銭々々々」またけたたましい下足番の声が追い駈けてきた...
正岡容 「小説 圓朝」
...木戸銭を倍近くに値上げしたのに連夜大入満員を続けている客席を傲然と鬼鬚を撫でて見廻しながらも岡村は...
正岡容 「寄席」
...木戸銭取って見世物にしても...
南方熊楠 「神社合祀に関する意見」
...見台を押し退けてその客を睨みながら「木戸銭を返すから出てくれ」と大喝し...
山本笑月 「明治世相百話」
...戸板にかこまれた木戸銭の影も斑(まば)らで...
吉川英治 「江戸三国志」
...「木戸銭を返せ! 銭で返すなり...
吉川英治 「新・水滸伝」
...口惜しいのはゆうべの木戸銭(あがり)をみんなフイにしたわたしの方だよ...
吉川英治 「新・水滸伝」
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