...朧げなりとも浮び上る私の蜃気楼のある事を...
芥川龍之介 「後世」
...実際その時はそうして見たら、ふだんは人間の眼に見えない物も、夕暗にまぎれる蝙蝠(こうもり)ほどは、朧げにしろ、彷彿(ほうふつ)と見えそうな気がしたからです...
芥川龍之介 「妖婆」
...欧羅巴の事情を朧げながら...
井上準之助 「最近欧米に於ける財政経済事情」
...只朧げながら夢と現(うつゝ)の境を歩む身に...
高山樗牛 「瀧口入道」
...幼く片親の手一つで育ってあまり豊かでない生活が朧げに胸にしみ浮世の木枯しはもう周囲に迫っていたから...
寺田寅彦 「森の絵」
...しかし私はその手紙に――或はそんな男と男との関係に――朧げながら罪悪的なものを感じたのは事実である...
外村繁 「澪標」
...朧げながらも自覺して愕然とした...
萩原朔太郎 「芥川龍之介の死」
...朧げながらも解らないことはない...
萩原朔太郎 「小説家の俳句」
...このへんてこなる方角をさして行け春の朧げなる柳のかげで 歌も燕もふきながされわたしの俥やさんはいつしんですよ...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...それはいかに朧げにせよ氣附く又知るといふことなしには行はれぬ...
波多野精一 「時と永遠」
...彼は寝たまま朧げに巷の雑音を聞いてゐるので...
原民喜 「透明な輪」
...適当な用語が適当に配置されて初めて朧げながら感じの一部分が再現されるのである...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...また朧げな地平線を遙かにのぞむ時――その時...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...朧げなその額(ひたひ)には星の環をまき...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...その聲のアクセントの描く曲線は朧げながら辿れるやうな氣もしますけれど...
堀辰雄 「プルウストの文體について」
...千鶴子のことも朧げながら早や察しているかと頷かれる節があった...
横光利一 「旅愁」
...我々には逃れる術のないやり方で朧げに邪悪な何かを仄めかし...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...数時間前から朧げな幻が見えており――混沌とした幻で...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「時間からの影」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??