...この時戸から洩れる蜘蛛(くも)の糸ほどの朧げな光が...
芥川龍之介 「影」
...朧げなりとも浮び上る私の蜃気楼のある事を...
芥川龍之介 「後世」
...自分もいつか朧げに見た事があるような...
芥川龍之介 「邪宗門」
...只朧げながら夢と現(うつゝ)の境を歩む身に...
高山樗牛 「瀧口入道」
...しかし私はその手紙に――或はそんな男と男との関係に――朧げながら罪悪的なものを感じたのは事実である...
外村繁 「澪標」
...朧げにしか見えなくなった...
直木三十五 「南国太平記」
...このへんてこなる方角をさして行け春の朧げなる柳のかげで 歌も燕もふきながされわたしの俥やさんはいつしんですよ...
萩原朔太郎 「青猫」
...朧げながらも解らないことはない...
萩原朔太郎 「小説家の俳句」
...朧げながら感じてゐたが...
萩原朔太郎 「中央亭騷動事件(實録)」
...それはいかに朧げにせよ氣附く又知るといふことなしには行はれぬ...
波多野精一 「時と永遠」
...銀幕の記憶か何かのやうに朧げに見えてゐた...
原民喜 「透明な輪」
...適当な用語が適当に配置されて初めて朧げながら感じの一部分が再現されるのである...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...その聲のアクセントの描く曲線は朧げながら辿れるやうな氣もしますけれど...
堀辰雄 「プルウストの文體について」
...かくも朧げに記憶の向ふに薄れてゐるか――と...
牧野信一 「余話」
...千鶴子のことも朧げながら早や察しているかと頷かれる節があった...
横光利一 「旅愁」
...朧げな捉へかたなき灰色をしてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...墓地の朧げな怖ろしさや...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...数時間前から朧げな幻が見えており――混沌とした幻で...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「時間からの影」
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