...うす暗い油火の光さへ朧げな月明りかと思はれて...
芥川龍之介 「地獄變」
...自分もいつか朧げに見た事があるような...
芥川龍之介 「邪宗門」
...実際その時はそうして見たら、ふだんは人間の眼に見えない物も、夕暗にまぎれる蝙蝠(こうもり)ほどは、朧げにしろ、彷彿(ほうふつ)と見えそうな気がしたからです...
芥川龍之介 「妖婆」
...欧羅巴の事情を朧げながら...
井上準之助 「最近欧米に於ける財政経済事情」
...朧げながら照り渡る彌生(やよひ)半(なかば)の春の夜の月...
高山樗牛 「瀧口入道」
...予は過去の幼穉(えうち)なる朧げなる経験をば一切虚也...
綱島梁川 「予が見神の実験」
...明治初年に於ける世界の大勢が朧げながら伺はれる...
土井晩翠 「新詩發生時代の思ひ出」
...遠い先のことに朧げな矜(ほこり)を感じていた...
徳田秋声 「あらくれ」
...一を聞くと、十に拡げるのが、名人じゃ、この男は――)と、思ったが、そうしたことは、斉彬公から聞いてもいて、朧げながら、自分も感じているので「そう」と、頷いた...
直木三十五 「南国太平記」
...このへんてこなる方角をさして行け春の朧げなる柳のかげで 歌も燕もふきながされわたしの俥やさんはいつしんですよ...
萩原朔太郎 「青猫」
...このへんてこなる方角をさして行け春の朧げなる柳のかげで 歌も燕もふきながされわたしの俥やさんはいつしんですよ...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...ここに吾々はすでに神の主體的同一性と創造的動作との朧げなる啓示を見るであらう...
波多野精一 「時と永遠」
...彼は寝たまま朧げに巷の雑音を聞いてゐるので...
原民喜 「透明な輪」
...銀幕の記憶か何かのやうに朧げに見えてゐた...
原民喜 「透明な輪」
...朧げな捉へかたなき灰色をしてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...我々には逃れる術のないやり方で朧げに邪悪な何かを仄めかし...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...数時間前から朧げな幻が見えており――混沌とした幻で...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「時間からの影」
...朧げで慄然たる推測に駆り立てられた...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「時間からの影」
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