...朦朧とした異形(いぎやう)の影(かげ)が...
芥川龍之介 「地獄變」
...謂わば空を漂っているような一種異様の朦朧とした心理状態で...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...その時ゆくり無く自分の眼には冬枯のさびれた裏庭の隅に疎らな木立を透かしてガラス張りの大きな白い温室が少し靄に包れて無人島に漂泊した人の憔衰した眼に偶暗い沖を通過する白い朦朧とした汽船を見出した喜びのやうに...
千家元麿 「自分は見た」
...すべてが白痴(こけ)のように朦朧とした感じであった...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...彦根の城閣も朝霧の中に朦朧とした輪廓を見せて來た...
近松秋江 「湖光島影」
...それから僕は何気ない顔つきをして俗謡のある一節を口ずさみながら朦朧とした意識に包まれて夕闇の中を歩き続けていた...
辻潤 「ふもれすく」
...酔夢朦朧とした私の頭の中には...
外村繁 「日を愛しむ」
...私の朦朧とした記憶の中に...
外村繁 「澪標」
...目はその朦朧とした中をさがし求めて...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...また朦朧とした黒い物影が...
中里介山 「大菩薩峠」
...かなり朦朧とした頭の何處かで...
中島敦 「環礁」
...さうして朦朧とした柳のかげからやさしい待びとのすがたが見えるよ...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...朦朧とした気持ちも...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...朦朧とした意識を呼びさまされたものか...
火野葦平 「花と龍」
...移り動く朦朧とした暗...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...へんに一種いひがたい朦朧とした...
室生犀星 「星より來れる者」
...酔眼朦朧とした身体(からだ)をグラグラさせながら...
夢野久作 「いなか、の、じけん」
...朦朧とした手つきで返事を書いた...
横光利一 「火の点いた煙草」
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