...トツクの姿もいつの間にか必ず朦朧と客の後ろに映つてゐるとか云ふことです...
芥川龍之介 「河童」
...小灯(こともし)の朦々(もうもう)と包まれた湯気の中から...
泉鏡花 「婦系図」
...雪子姉さんだ)朦朧たる人影は後姿ながら...
海野十三 「四次元漂流」
...年々のなれども雪にこもりをるはおのづから朦然(まうぜん)として心たのしからず...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...同情の理由が、朦朧としてゐる...
太宰治 「お伽草紙」
...背の高い痩(やせ)ぎすな男の姿が朦朧(もうろう)としてあらわれた...
田中貢太郎 「女の怪異」
...朦朧(もうろう)とした月の光に一方の壮(わか)い方の女の艶(なまめ)かしい衣(きもの)の端(はし)が光った...
田中貢太郎 「切支丹転び」
...朦朧と室内を照して...
谷崎潤一郎 「少年」
...朦朧たる雨の空中をぼんやり照らしているばかりであった...
谷崎潤一郎 「秘密」
...何しろ二十五六年前のことなので記憶は朦朧たらざるを得ません)あとに述べる通りそれから一ヶ月以内に私は全く英国を去つてしまつたので...
土井晩翠 「漱石さんのロンドンにおけるエピソード」
...酔眼を朦朧(もうろう)とさせている神尾主膳を見る...
中里介山 「大菩薩峠」
...かなり朦朧(もうろう)とした頭の何処かで...
中島敦 「環礁」
...朦朧(もうろう)と胸の底に残って...
夏目漱石 「草枕」
...朦朧(もうろう)と...
夏目漱石 「草枕」
...詩の情趣は「朦朧の神秘」に存し...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...酔眼朦朧たる加十の眼にもこれは実以て美事な眺めなのだ...
久生十蘭 「魔都」
...意識が朦朧としていて...
火野葦平 「花と龍」
...頓(やが)て其蒼いのも朦朧(もやもや)となって了った……どうも変さな...
ガールシン 二葉亭四迷訳 「四日間」
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