...その朦朧(もうろう)と煙(けぶ)った奥に何があるのか見たいと思った...
芥川龍之介 「不思議な島」
...四五台朦朧(もうろう)と寂しく並んだ車の中から...
泉鏡花 「歌行燈」
...我在りと自覚するに頗(すこぶ)る朦朧(もうろう)の状態にあった...
泉鏡花 「おばけずきのいわれ少々と処女作」
...さらに前句を朦朧運轉手...
心猿 「荷風翁の發句」
...けれども時代の意識は朦朧(もうろう)として...
大隈重信 「現代の婦人に告ぐ」
...私の頭は朦朧としてゐる...
太宰治 「津軽」
...精神が朦朧となり...
田中貢太郎 「阿宝」
...庭一面は朦朧(もうろう)として薄暮(たそがれ)よりも明かった...
永井荷風 「狐」
...酔眼を朦朧(もうろう)とさせている神尾主膳を見る...
中里介山 「大菩薩峠」
...朦朧(もうろう)と朱(あか)い影が静かな土を動かして...
夏目漱石 「虞美人草」
...けれどももう少しで朦朧(もうろう)の境(さかい)に沈むべき性質(たち)のものであった...
夏目漱石 「門」
...三時(じ)は朦朧(もうろう)として聞(きこ)えた樣(やう)な聞(きこ)えない樣(やう)なうちに過(す)ぎた...
夏目漱石 「門」
...「人間」性という言葉はきわめて朦朧(もうろう)としたものになっている...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...朦朧とあたりを眺めると...
久生十蘭 「予言」
...オヤジい」意識朦朧となりかかっても...
火野葦平 「花と龍」
...へんに一種いひがたい朦朧とした...
室生犀星 「星より來れる者」
...妾は朦朧(もうろう)とした意志に危険を直覚して...
吉行エイスケ 「バルザックの寝巻姿」
...ハッと思うとまたしても意識が朦朧となってしまった...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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