...その朦朧(もうろう)と煙(けぶ)った奥に何があるのか見たいと思った...
芥川龍之介 「不思議な島」
...あらゆる差別のやうに朦朧(もうろう)としてゐる...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...或は大きく朦乎(ぼんやり)と映り...
石川啄木 「赤痢」
...朦朧(もうろう)として婦人(おんな)あり...
泉鏡花 「活人形」
...迷晦朦朧として黄昏男と言はれても...
泉鏡花 「遺稿」
...朦朧(もうろう)としたる他人の姿が一緒に写っていたことがある...
井上円了 「おばけの正体」
...其朦朧たる煙の中から...
江見水蔭 「硯友社と文士劇」
...その障子に物の影が薄く朦朧(もうろう)と映っているように見えた...
田中貢太郎 「黄燈」
...そして脱線しえられるだけ脱線したらしい(意識が朦朧としてゐたから)...
種田山頭火 「其中日記」
...その物の内容は朦朧(もうろう)としておったのであります...
夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
...詩の情趣は「朦朧の神秘」に存し...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...遙か西の方の空に黒煙が朦々と立騰つてゐた...
原民喜 「壊滅の序曲」
...アルルの近郊(プロヴァンス)に近い平坦な野原に朦朧とたたずむ橄欖(オリーブ)の矮林(わいりん)のそばを轟々(ごうごう)たる疾駆を続けてゆく...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...朦朧とした向うには淡路島の描かれた書割を置く...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...朦々と明るみ渡つた煙りの縞瑪瑙に畳まれた長廊下を――...
牧野信一 「酒盗人」
...頭が朦朧として來て胸が激しく波打ち出すと仰向きになつた...
横光利一 「悲しみの代價」
...海は灰色の霧でいかにも朦朧としてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...――朦朧(もうろう)たる眸が...
吉川英治 「新書太閤記」
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