...喉まで出懸けた聲は辛うじて噛殺したが、先生の有難さ、友達に冷笑(ひやかさ)れる羞(はづ)かしさ、家へ歸つて何と言つたものだらうといふ樣な事を、子供心に考へると、小さい胸は一圖に迫つて、涙が留度もなく溢れる...
石川啄木 「二筋の血」
...其の進歩の有難さを感ぜぬ者は無いであらうが...
丘浅次郎 「自然の復讐」
...それをききました時は有難さに泣き...
相馬愛蔵、相馬黒光 「一商人として」
...この山椒魚の有難さを説いて聞かせようと思ったとたんに...
太宰治 「黄村先生言行録」
...なんの感激も有難さも覚えないのだから...
太宰治 「女人創造」
...この深い山の御堂にこの上もない有難さをひろげてゐるやうに見えた...
田山花袋 「道綱の母」
...開け行く世の有難さとでもいうんだろう...
中里介山 「大菩薩峠」
...十日飢えて一椀の飯の有難さを感ずる心を以て...
中里介山 「大菩薩峠」
...世間の親の有難さということに目頭(めがしら)が熱くなってくる...
中里介山 「大菩薩峠」
...捨てる文化の有難さである...
中谷宇吉郎 「捨てる文化」
...私達は林道の有難さを思つて一時間足らず遊んだ後に雨の中を再び小屋に歸つた...
沼井鐵太郎 「黒岩山を探る」
...道具の有難さも知っているわけだから...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...民藝品から吾々が教えられるものは、自由さの有難さ、深さである...
柳宗悦 「改めて民藝について」
...その後も大変親切であった有難さが...
柳田国男 「故郷七十年」
...彼はその有難さに日常身の置くところを知らず...
山本周五郎 「長屋天一坊」
...文化の最大の有難さは...
横光利一 「欧洲紀行」
...今さら有難さを覚えたことであった...
吉川英治 「新書太閤記」
...何かこう御仏(みほとけ)の手でこれへ体を運ばれたような心地がして――有難さに...
吉川英治 「親鸞」
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