...では、何時(いつ)になつたら済むといふのだ、念のため教へて欲しいと友達がいふと、フイシユは革表紙の擦り切れた新約全書を机の上から引張り出して、「有難いのは、この本だよ、ちやんと今度の戦争の終末期まで出てゐるから、大したもんさ...
薄田泣菫 「茶話」
...何となく有難いものゝやうに響いた...
ロバート・ルイス・スティーヴンソン 佐藤緑葉訳 「醫師と旅行鞄の話」
...商店の中には最も有難い言い値で買って下さるお客には高値で売り付け...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...餘りに強い日常の刺戟に疲れたものゝ眼には此のやうな眺めが又なく有難い...
寺田寅彦 「寫生紀行」
...訳注の親切なのも有難い(なお同氏にはE・ウーティツの『美学史要』の訳もある)...
戸坂潤 「読書法」
...「本というものは実に有難いもので...
夏目漱石 「道草」
...「さう言つてくれるのは有難いが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...世にも有難い心掛けの男で年中善根を施すのを楽しみにしている人間だったのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――その代りあっしが手伝ってあげます」「有難い...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それは有難い」用人の水谷六郎兵衞...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「有難い、それであつしも、あの内儀へ義理が立ちますよ」八五郎の甘さ、あの不思議な美しさを持つた内儀のためには、それも大概(たいがい)のことはやり兼ねまじき意氣込みです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...まことに有難い特技だつたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...どんな名前をでっちあげても、有難いことに、必らず我が帝国のどこかに、実際そういう名前の人があって、屹度かんかんになって腹を立てる...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...私は口ではそれは有難いと云つたが...
二葉亭四迷 「嫉妬する夫の手記」
...有難い有難い母であった...
三浦環 「お蝶夫人」
...幸にして自分は衣食に事缺かぬ有難い身の上であつたし...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...そうした有難い舞坂トメ子さんの心遣いが貴方におわかりになりますか...
夢野久作 「少女地獄」
...ああ有難い...
吉川英治 「三国志」
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