...彼は最早死者だと思われていたが、奇跡的に生還した...
...最早正午を過ぎてしまったので急いで出かけよう...
...今度の地震で、被害額は最早五回になった...
...このチームは最早無敵の存在と化している...
...明日の朝早くには彼女が退院するそうで、最早安心した...
...最早一刻も猶予すべき時ではないと思った...
海野十三 「深夜の市長」
...四不倫の妻おせいが、恋人との逢瀬(おうせ)から帰って来たのは、その日の午後三時頃、丁度格太郎が長持の中で、執念深くも最後の望みを捨て兼ねて、最早や虫の息で、断末魔(だんまつま)の苦しみをもがいている時だった...
江戸川乱歩 「お勢登場」
...あの折角の印度更紗(インドさらさ)の窓かけも最早や昔日(せきじつ)の俤(おもかげ)を止(とど)めず煤(すす)けてしまい...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...彼(かれ)は最早(もはや)それ以上(いじやう)彼(かれ)の心裏(しんり)に残存(ざんぞん)して居(ゐ)る或(あ)る物(もの)をまで奪(うば)ひ去(さ)られることには堪(た)へないのである...
長塚節 「土」
...最早起き上る気力もないように見えましたが...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...今では最早そのような気兼も苦労もなく...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...最早取合う者もなく...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...最早二十五六年も前のことだが――新聞社の試写会で挨拶をさせられたことがある...
野村胡堂 「随筆銭形平次」
...たといその肉体の身は死せざるも最早(もはや)政治上に再生(さいせい)すべからざるものと観念して唯(ただ)一身を慎(つつし)み...
福沢諭吉 「瘠我慢の説」
...しかも、今夜彼がその家族の眞中(まんなか)に坐つたとき(五月の月は窓掛を引かぬ窓に射し込み、卓子(テエブル)の上の蝋燭の光が殆んど要(い)らぬ位であつた)――彼が大型の昔風な聖書の上の身を屈(かゞ)めて坐り、その頁から新しい天國、新しい地上の姿を描き出し――如何にして神が來て人間と共に住み給うたか、またその眼からすつかり涙を拭ひ去り給ひ、先のことは過ぎ去つたが故に、最早死もなく、悲しみも嘆きもなく、この上の苦しみもないことを約し給うたかを話したとき――その聲はなほ一層の嚴肅な調子となり、――その態度はなほ一層感動させるやうな意味を加へたのであつた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...思へば最早大分の月日が経つてゐる...
牧野信一 「西瓜喰ふ人」
...私自身も亦南北や春水の文学をおもはせる下総市川の里へ永住の居を建造してしまつたので先づ先づそれらの野望は最早一生遂げられまいし...
正岡容 「東京万花鏡」
...同時に草臥(くたび)れが出てしもうて最早筆を採る勇気はない...
正岡子規 「徒歩旅行を読む」
...良吉は最早出立したのか知らんと...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...寿三郎氏はその時既に「最早(もはや)絶望」と思ってしまったという...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...而(しか)してその騒ぎが一先(ひとま)ず落着し、それぞれの処置を終ると間もなく、正木博士は同教室を出たものらしく、午後二時半頃、医員山田学士が「呉一郎は回復の見込あり」という報告を為(な)すべく、同教授を探しまわった時には、最早(もはや)、同科教室及病院内のどこにも正木博士の姿を発見し得なかったという...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...五時になると最早(もう)雀の啼(な)き声と代つて仕舞(しま)ふ...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...埃の上に足跡が残ることは最早期待できなかったからだ...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
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