...最前から荷をおろして休んでゐた一人の婆さんがある...
永井荷風 「買出し」
...今余が辛抱(しんぼう)して向き合うべく余儀なくされている鏡はたしかに最前から余を侮辱している...
夏目漱石 「草枕」
...最前からちょいちょい扉口を覗いて...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...この様子を最前から見ていた禿頭(はげあたま)の紳士がありました...
夢野久作 「正夢」
...かう思ふと最前からの自分の行動が全く徒労であつたことを気附かぬわけにゆかなかつた...
宮地嘉六 「煤煙の臭ひ」
...何の必要があれば……最前からアヤツリを使ってコンナに大勢の人を寄せたのか...
夢野久作 「いなか、の、じけん」
...しかし私は最前から吐きそうな気持ちになっていた...
夢野久作 「冗談に殺す」
...最前から所在なさにぼんやりと煙草(たばこ)ばかり吹かしていた杉川医師が突然思い出したように私の方を振り返った...
夢野久作 「暗黒公使」
...この女は最前からかなりの嘘言(うそ)を吐いている...
夢野久作 「暗黒公使」
...最前から持っていたような一種の投(なげ)やりな気持ちや...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...「……あなたの中に潜伏しております過去の御記憶は、最前から、極めて微妙に眼醒めかけているように思われるのです...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...私のツイ鼻の先に奇妙な人間が居る……最前から...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...ただ最前から解放治療場の附近を舞いまわっているらしい...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...「最前から、女中に案内されて、こちらでお声をかけましたが、お遊びに夢中な御様子だもんですから、しばらく控えておりましたんで」「そうですか、して、お前はたれですか」「お忘れでございますか...
吉川英治 「江戸三国志」
...最前からの無礼はどうかゆるされい...
吉川英治 「三国志」
...「何じゃ、最前から、あっちの部屋で、がやがやと、協議しとるのは」「藩船のお旗箱が、見えんというて、今夜、春日丸を、長門沖までお見送りするに、差しつかえているのでございます」「誰だ、威猛高(いたけだか)に、喚(わめ)いておるのは」「小隊長の宍戸(ししど)殿で」「呼べ」桂が、呼ぶと聞いて、宍戸は、自分の責任を恐れながら入ってきた...
吉川英治 「松のや露八」
...最前から役室の自鳴鐘(とけい)をじっと睨(にら)みながら...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...最前から一挺の駕がおいてあった...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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