...軍兵たちが燒打にした一村の焔が夜天に尾を曳く彗星のやうだ...
ルイ・ベルトラン Louis Bertrand 上田敏訳 「石工」
...よっちら/\曳く老車夫が多かった...
高浜虚子 「丸の内」
...コンと云う金属性の美しい余韻(よいん)を曳くようにするにはある人為(じんい)的な手段をもって養成するそれは藪鶯の雛(ひな)を...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...その金色の髮を曳く...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...しかく陳じて影長く曳く槍ふりて投げ飛ばし...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...王は即ち騾馬の曳く輪車整へ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...わざわざ杖を曳く心にはならない...
永井荷風 「百花園」
...ここに杖を曳く時...
永井荷風 「放水路」
...それを殿御が聞きつけて留まれ留まれと袖を曳くこれがこの先生の得意の鼻歌であると覚(おぼ)しく...
中里介山 「大菩薩峠」
......
長塚節 「長塚節歌集 中」
...平の町より平潟の港へかへる途上磐城關田の濱を過ぎてこませ曳く船が帆掛けて浮く浦のいくりに立つは何を釣る人汐干潟磯のいくりに釣る人は波打ち來れば足揚(あげ)て避けつゝ平潟港即事松魚船入江につどひ檣に網(あみ)建て干せり帆を張るが如し九日午後になりて雨漸く收る...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...ああこの影を曳く景色のなかでわたしの靈魂はむずがゆい恐怖をつかむそれは港からきた船のやうに 遠く亡靈のゐる島島を渡つてきたそれは風でもない 雨でもないそのすべては愛欲のなやみにまつはる暗い恐れださうして蛇つかひの吹く鈍い音色にわたしのくづれてゆく影がさびしく泣いた...
萩原朔太郎 「青猫」
...最後に長く「クリート」と曳くのであつた...
萩原朔太郎 「宿命」
...私はこの高塔下の娯楽場へ杖曳くことがなくなつてゐたからである...
正岡容 「異版 浅草燈籠」
...自分の曳く力がまるでないことを悲しんでいた...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...曳くならどこへでも曳いてゆけ」一方...
吉川英治 「大岡越前」
...馬を曳くような所作で犬を曳いた...
吉川英治 「私本太平記」
...十五すでに簾裡(れんり)に裳(もすそ)を曳く――と...
吉川英治 「源頼朝」
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