...唯(たつた)一輛残つてゐた俥の持主は五年前に死んで曳く人なく...
石川啄木 「赤痢」
...閉づれば長く曳く睫(まつげ)の影...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...よっちら/\曳く老車夫が多かった...
高浜虚子 「丸の内」
...諸人筋力を尽して之を曳くこと...
太宰治 「右大臣実朝」
...しかく陳じて影長く曳く槍ふりて投げ飛ばし...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...上着を曳くも效なけむ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...車臺の後にヘクト,ルの屍體曳くべく結び付け...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...それを曳くのは大きな鳶色の猛犬...
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー Marie Louise de la Ramee 菊池寛訳 「フランダースの犬」
...折々杖を曳くのである...
永井荷風 「放水路」
...曳く者も得意でいたところが...
中里介山 「大菩薩峠」
...雲つねに山の巓を去らず韮崎や釜なし川の遙々にいづこぞ不盡の雲深み見えず祖母石(うばや)より對岸を望むいたくたつは何焚く煙ぞ釜なしの楊がうへに遠く棚曳く臺が原に入る白妙にかはらはゝこのさきつゞく釜無川に日は暮れむとす四日...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...働きもするが鐵棒(かなぼう)も曳くと言つた――こればかりは六人の女のうちで...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...索(なわ)もて曳くがごとし...
林不忘 「仇討たれ戯作」
...ふぐりは地に曳くようになるというが...
久生十蘭 「玉取物語」
...二七 最も長き訴訟訴訟は時として随分長曳くもので...
穂積陳重 「法窓夜話」
...オールが水を跳ねても水面に尾を曳く波紋から眼を放そうとしなかった...
横光利一 「旅愁」
...そして裳(も)を曳く人の如く...
吉川英治 「剣の四君子」
...新柳の美妓(びぎ)が扇なりに楚々(そそ)と裳(すそ)を曳く...
吉川英治 「松のや露八」
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