...この日も曇天の海を見ながら...
芥川龍之介 「お時儀」
...樹明君に・月あかりのしたしい足音がやつてくる自分自身に椿が咲いたり落ちたり道は庵まで春雪二句追加・雪すこし石の上・ぶら/\あるけば淡雪ところ/″\・霜どけの道をまがると焼場で・墓場したしうて鴉なく・早春の曇り日の墓のかたむき春の野が長い長い汽車を走らせる三月十一日何もかも食べつくしてしまつた...
種田山頭火 「其中日記」
...十一月五日晴、何とうらゝかな、曇、何としづかな...
種田山頭火 「其中日記」
...お地蔵さまへもさくら一枝黎々火君になつかしい顔が若さを持つてきた四月十一日曇...
種田山頭火 「其中日記」
...一月廿五日曇...
種田山頭火 「其中日記」
...四月二日曇...
種田山頭火 「旅日記」
...飯櫃の話・苔と垢三月九日曇...
種田山頭火 「松山日記」
...イヤに曇った寒い日で...
田山花袋 「トコヨゴヨミ」
...八月になってから雨天や曇天がしばらく続いて涼み台も片隅の戸袋に立てかけられたままに幾日も経った...
寺田寅彦 「小さな出来事」
...生憎(あいにく)野末の空少し薄曇(うすぐも)りして...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...「わしが部屋住の間は、未だ責任が軽うてよかったが、当主となれば、敵は、家中のみでなく、幕府も、他藩も――それよりも、この心の中の、いろいろの苦しみ――子を失い、父と争う苦しみ――己の儲けた金でない金をもって、成るか、成らぬか判らぬ仕事をしている苦しみ――久光、お前だけが判ってくれるであろう」「はい」「お前は、泣いているの――わしは、泣きもできぬ」だが、斉彬の声も、曇っていた...
直木三十五 「南国太平記」
...広重は四条(しじょう)派の山水に見るが如き濃淡を以て巧みに樹木風景を曇らす霞を描きたれど...
永井荷風 「江戸芸術論」
...曇天...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...その日も行火(あんくわ)の欲しいやうな曇つた日でした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...諦め兼ねた愁悶(しうもん)が太い眉を曇らせます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...死の影に曇っているから...
二葉亭四迷 「平凡」
...きょうは曇天のくせにむします...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...そこの下でまだ療養している妹の寝姿を思い急に心は曇ったが...
横光利一 「旅愁」
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