...喜び涙ぐむ娘に暫しの辛棒を説いて私は一まづそこを辭し去りました...
石川三四郎 「浪」
...智惠子は稍暫しその物憐れな室の中を見てゐたが...
石川啄木 「鳥影」
...暫し浮世の外にある心地せり...
大町桂月 「鹿島詣」
...暫しはそのことを忘れてゐたが...
田山録弥 「アカシヤの花」
...路は暫し松林(しようりん)の間を穿(うが)ちて...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...なお暫し御題目を唱え...
豊島与志雄 「霊感」
...二人の友は暫しのあいだ互いに手と手を取りあって無言のまま...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...暫し、彼が顏をそむけたとき、私は一滴(ひとしづく)の涙が閉ぢた瞼(まぶた)から流れて、男らしい頬に轉び落ちるのを見た...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...悪魔! とか叫びながら相搏つのみで暫しは手の降(くだ)しようもなかつたのであるが...
牧野信一 「円卓子での話」
...きのふも私はあの橋の上に立ちどまつて、暫し、ありし日の夢二さんが上をしみ/″\と偲んだ...
正岡容 「下町歳事記」
......
松本たかし 「松本たかし句集」
...少女は暫し巨勢を見やりて...
森鴎外 「うたかたの記」
...こは足を縛して放たれし鳥の暫し羽を動かして自由を得たりと誇りしにはあらずや...
森鴎外 「舞姫」
...暫しという間はない...
山本周五郎 「菊屋敷」
...暫しこゝへ來て休息し...
吉江喬松 「山岳美觀」
...――そして暫しの間は彼等は寧ろその方を悦んでゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...流石に私も暫しは疲れを忘るる心地になった...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...がらんとした廣い室内が急にひつそりした樣であつたが、それも暫しで、瀧の樣な雨聲は前より一層あざやかにこの部屋を包んでしまつた...
若山牧水 「山寺」
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