...まことの光りまことの美狹霧に蔽はれとざされて暗にさまよふわがこゝろたのむは獨り君が歌紫蘭の薫り百合花の色爲めに咲かなん君が歌...
土井晩翠 「天地有情」
...憂(うき)よ思よ一春の過ぎて跡なき夢のごとにがき涙もおもほへば今に無量の味はあり浮世を捨てゝおくつきの暗にとこしへ眠らんと願ひしそれも幸なりき...
土井晩翠 「天地有情」
...暗に此の大任を伊藤侯に委するの内勅を得るの手段を盡さむことを求めたるに...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...無暗に試驗を氣にかけます...
長岡半太郎 「湯川博士の受賞を祝す」
...そう無暗に昂奮して...
中里介山 「大菩薩峠」
...町中まっ暗になってしまう...
中谷宇吉郎 「ウィネッカの冬」
...無暗に高い帽子と高い下駄を穿(は)く事や...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...二人が死ねば島津家は真っ暗になってしまう...
新渡戸稲造 「自警録」
...――綾麿は四方(あたり)が真っ暗になったように思いました...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...無暗に土の中に埋められては叶(かな)はない――多分...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...そして彼一流の豐富の話題で、自分の考へてること、惱んでゐることに議事を關聯させ、最後に結論として、暗に私を鼓吹し、慰藉し、勇氣と力をあたへるやうに仕向けてくれた...
萩原朔太郎 「芥川龍之介の死」
...夕暗に鎖されて行く※蝉縣址と...
濱田耕作 「温泉雜記」
...私は眼の前が真暗になった上に...
夢野久作 「父杉山茂丸を語る」
...我が夜雨の詩を讀みたるは、七八年前某雜誌に載せられたる『神も佛も』といふ一長篇を以て初めとなす、當時彼の年齒猶少、その詩想、亦今より見れば穉簡を免れざる如しと雖も、我は未だ曾てかくばかり文字によりて哀苦を愬へられたることあらず、我が彼と交を訂したるは、爾後兩三年の間にあり、彼生れて羸弱、脊髓に不治の病を獲て、人生の所謂幸福、快樂なるもの、幾んど彼が身邊より遠ざかる、彼に慈母ありて愛撫※さに至り、家庭の清寧平温は、世稀に見るところにして、尠くとも彼自身はかれの如く悲觀す、彼もし哲人ならば、形骸を土芥視して、冷やかに人間と世間と、一切を嗤笑して止みしならむ、彼もし庸人ならば、無氣淪落その存在を疑はれて止みしならむ、然れども彼は情の人なり、眞の人なり、脆弱なる地皮より熱漿を吐く如く、彼が孱躯は肉を蠢にし、詩を靈にしたり、彼が詩は、實に悒然樂しまざるあまりに吐かれたる咳唾なり、尋常人に無意味なる落葉一片も、彼は清唳なくして之を看過する能はず、人生は彼に在りて憂が描ける單圈のみ、愁苦を以て結し、詩を以て分解す、彼が從來の半生涯傳は是也、故に彼の詩の半面は險、澁、幽、暗にして、他の半面は眞、率、慘、澹、之を貫ぬくに脈々たる生血(ライフ、ブラッド)を以てす、詩豈活きざらんや...
横瀬夜雨 「花守」
...そう無暗に共産化してどうなるんだ...
横光利一 「上海」
...なんじは魏の大帝をさして暗にそのことばをなすのであろうが...
吉川英治 「三国志」
...暗に見くらべていたかがわかる...
吉川英治 「私本太平記」
...暗にそのときはそれを認めてやろうという程度の口吻(こうふん)をもらしたに過ぎない...
吉川英治 「新書太閤記」
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