...倉地と岡との間には暗々裡(あんあんり)に愛子に対する心の争闘が行なわれたろう...
有島武郎 「或る女」
...新聞紙の報道を半分虚伝と思いつつも暗々裡(あんあんり)に認める外はなかった...
内田魯庵 「美妙斎美妙」
...しかしあれは日本の特務機関によって企てられた挑発事件らしいという噂(うわさ)は暗々裡に伝わっていた...
高見順 「いやな感じ」
...お互いに屑鉄屋のあのゲーゲーに悩まされたことが俺たちを暗々裡にすっかりもう親しくさせたかのような口調で...
高見順 「いやな感じ」
...暗々裡(あんあんり)にいたわり慰めてくれているものと取れたが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...そのくらいはまだよいとして弟子共が持って来る中元や歳暮(せいぼ)の付け届け等にまで干渉(かんしょう)し少しでも多いことを希望して暗々裡(あんあんり)にその意を諷(ふう)すること執拗(しつよう)を極めたある時盲人の弟子があり家貧しき故に月々の謝礼も滞(とどこお)りがちであったが中元に付け届けをすることが出来ず心ばかりに白仙羹(はくせんこう)をひと折買って来て情を佐助に訴え...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...それは既にその内部の力の衰へたことを暗々裡に意味してゐる形になる...
田山録弥 「真剣の強味」
...アリョーシャの心は暗々裡に葬られることをいさぎよしとしない...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...二人は暗々裡(あんあんり)に一致して...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...富子が暗々裡にその解決を迫っているのが彼にはよく分っていた...
豊島与志雄 「囚われ」
...文化的獨立をしようといふ考が暗々裡に動いて居つたので...
内藤湖南 「日本文化の獨立」
...暗々裡にかずをかさねているのではないか...
西尾正 「放浪作家の冒険」
...それが暗々裡(あんあんり)に競技の興奮を忘れがたいものにしていたように思う...
柳田国男 「こども風土記」
...暗々裡(あんあんり)にその選択を左右した微細の力があったことは確かだが...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...吾輩との妥協を絶望と見て取って暗々裡(あんあんり)に事件を揉み消すと同時に...
夢野久作 「爆弾太平記」
...つまり暗々裡(あんあんり)のかたちにすぎず...
吉川英治 「私本太平記」
...暗々裡な庇護がうごいていた...
吉川英治 「平の将門」
...彼が今日まで黒暗々裡に...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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