...葉子は自分のして見せる蠱惑的(こわくてき)な姿態(しな)がいつでも暗々裡(あんあんり)に事務長のためにされているのを意識しないわけには行かなかった...
有島武郎 「或る女」
...倉地と岡との間には暗々裡(あんあんり)に愛子に対する心の争闘が行なわれたろう...
有島武郎 「或る女」
...お互いに屑鉄屋のあのゲーゲーに悩まされたことが俺たちを暗々裡にすっかりもう親しくさせたかのような口調で...
高見順 「いやな感じ」
...中学校にて始めて物理学を学ぶ際に「何故(なにゆえ)にかくのごとく考えざるべからざるか」との疑問が暗々裡に学生の脳裡に起りて何人(なんびと)もこれが解決を与えざるが故に...
寺田寅彦 「自然現象の予報」
...だがあなたが暗々裡にそうした氣持をいだいていた以上...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...富子が暗々裡にその解決を迫っているのが彼にはよく分っていた...
豊島与志雄 「囚われ」
...暗々裡にかずをかさねているのではないか...
西尾正 「放浪作家の冒険」
...人々は実生活に於いて自己の努力で、勝利のクライマツクスを味はふことができないものだから、実生活に幻滅して、小説に慰安を求め、暗々裡に、自ら作中の主人公若しくは女主人公のつもりになつて、一時的な、幻想的な満足を感じようとするのである...
平林初之輔 「商品としての近代小説」
...暗々裡の物々しい争奪が演ぜられてゐたといふことであつた...
牧野信一 「バラルダ物語」
...かれの心の冒険と暗々裡(り)に合流して...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...暗々裡(あんあんり)に我進歩を礙(さまた)げ...
森鴎外 「鴎外漁史とは誰ぞ」
...やはり暗々裡(あんあんり)に古書の外国記事が...
柳田国男 「海上の道」
...暗々裡(あんあんり)に日本諸島の開発に...
柳田国男 「海上の道」
...それが暗々裡(あんあんり)に競技の興奮を忘れがたいものにしていたように思う...
柳田国男 「こども風土記」
...いつのまにか暗々裡(あんあんり)に入り込んでいた生活変化は...
柳田国男 「木綿以前の事」
...吾輩との妥協を絶望と見て取って暗々裡(あんあんり)に事件を揉み消すと同時に...
夢野久作 「爆弾太平記」
...つまり暗々裡(あんあんり)のかたちにすぎず...
吉川英治 「私本太平記」
...暗々裡な庇護がうごいていた...
吉川英治 「平の将門」
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