...葉子は自分のして見せる蠱惑的(こわくてき)な姿態(しな)がいつでも暗々裡(あんあんり)に事務長のためにされているのを意識しないわけには行かなかった...
有島武郎 「或る女」
...倉地と岡との間には暗々裡(あんあんり)に愛子に対する心の争闘が行なわれたろう...
有島武郎 「或る女」
...新聞紙の報道を半分虚伝と思いつつも暗々裡(あんあんり)に認める外はなかった...
内田魯庵 「美妙斎美妙」
...お互いに屑鉄屋のあのゲーゲーに悩まされたことが俺たちを暗々裡にすっかりもう親しくさせたかのような口調で...
高見順 「いやな感じ」
...中学校にて始めて物理学を学ぶ際に「何故(なにゆえ)にかくのごとく考えざるべからざるか」との疑問が暗々裡に学生の脳裡に起りて何人(なんびと)もこれが解決を与えざるが故に...
寺田寅彦 「自然現象の予報」
...暗々裡の衆人一致の合意で正当に一挙に廃止されるもののように...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...私小説を暗々裡に支援した...
豊島与志雄 「文学に於ける構想力」
...文化的獨立をしようといふ考が暗々裡に動いて居つたので...
内藤湖南 「日本文化の獨立」
...暗々裡にかずをかさねているのではないか...
西尾正 「放浪作家の冒険」
...人々は実生活に於いて自己の努力で、勝利のクライマツクスを味はふことができないものだから、実生活に幻滅して、小説に慰安を求め、暗々裡に、自ら作中の主人公若しくは女主人公のつもりになつて、一時的な、幻想的な満足を感じようとするのである...
平林初之輔 「商品としての近代小説」
...暗々裡(あんあんり)に妻をして自身の地位を固くせんが為め...
福沢諭吉 「女大学評論」
...暗々裡の物々しい争奪が演ぜられてゐたといふことであつた...
牧野信一 「バラルダ物語」
...やはり暗々裡(あんあんり)に古書の外国記事が...
柳田国男 「海上の道」
...それが暗々裡(あんあんり)に競技の興奮を忘れがたいものにしていたように思う...
柳田国男 「こども風土記」
...いつのまにか暗々裡(あんあんり)に入り込んでいた生活変化は...
柳田国男 「木綿以前の事」
...現在の人類繁栄は実に暗々裡に彼らの安寧を侵蝕しているのである...
柳田国男 「雪国の春」
...暗々裡(あんあんり)の戦闘は...
吉川英治 「黒田如水」
...つまり暗々裡(あんあんり)のかたちにすぎず...
吉川英治 「私本太平記」
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