...横浜出航以来夫人から葉子が受けた暗々裡(あんあんり)の圧迫に尾鰭(おひれ)をつけて語って来て...
有島武郎 「或る女」
...そのくらいはまだよいとして弟子共が持って来る中元や歳暮(せいぼ)の付け届け等にまで干渉(かんしょう)し少しでも多いことを希望して暗々裡(あんあんり)にその意を諷(ふう)すること執拗(しつよう)を極めたある時盲人の弟子があり家貧しき故に月々の謝礼も滞(とどこお)りがちであったが中元に付け届けをすることが出来ず心ばかりに白仙羹(はくせんこう)をひと折買って来て情を佐助に訴え...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...それは既にその内部の力の衰へたことを暗々裡に意味してゐる形になる...
田山録弥 「真剣の強味」
...中学校にて始めて物理学を学ぶ際に「何故(なにゆえ)にかくのごとく考えざるべからざるか」との疑問が暗々裡に学生の脳裡に起りて何人(なんびと)もこれが解決を与えざるが故に...
寺田寅彦 「自然現象の予報」
...暗々裡の衆人一致の合意で正当に一挙に廃止されるもののように...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...私小説を暗々裡に支援した...
豊島与志雄 「文学に於ける構想力」
...暗々裡に私を警戒させるのだ...
豊島与志雄 「理想の女」
...在野党に傾く者との区別が暗々裡にあったように思われた...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...その時まで暗々裡(あん/\り)に私はセント・ジョンを何處かわからない所のある人として怖れてゐた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...暗々裡の物々しい争奪が演ぜられてゐたといふことであつた...
牧野信一 「バラルダ物語」
...かれの心の冒険と暗々裡(り)に合流して...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...暗々裡(あんあんり)に我進歩を礙(さまた)げ...
森鴎外 「鴎外漁史とは誰ぞ」
...いつのまにか暗々裡(あんあんり)に入り込んでいた生活変化は...
柳田国男 「木綿以前の事」
...暗々裡(あんあんり)に渡世(とせい)の地を為(な)したらしい形跡もあるのである...
柳田国男 「木綿以前の事」
...暗々裡(あんあんり)にその選択を左右した微細の力があったことは確かだが...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...吾輩との妥協を絶望と見て取って暗々裡(あんあんり)に事件を揉み消すと同時に...
夢野久作 「爆弾太平記」
...つまり暗々裡(あんあんり)のかたちにすぎず...
吉川英治 「私本太平記」
...暗々裡な庇護がうごいていた...
吉川英治 「平の将門」
便利!手書き漢字入力検索