...葉子は自分のして見せる蠱惑的(こわくてき)な姿態(しな)がいつでも暗々裡(あんあんり)に事務長のためにされているのを意識しないわけには行かなかった...
有島武郎 「或る女」
...新聞紙の報道を半分虚伝と思いつつも暗々裡(あんあんり)に認める外はなかった...
内田魯庵 「美妙斎美妙」
...しかしあれは日本の特務機関によって企てられた挑発事件らしいという噂(うわさ)は暗々裡に伝わっていた...
高見順 「いやな感じ」
...暗々裡(あんあんり)にいたわり慰めてくれているものと取れたが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...それは既にその内部の力の衰へたことを暗々裡に意味してゐる形になる...
田山録弥 「真剣の強味」
...富子が暗々裡にその解決を迫っているのが彼にはよく分っていた...
豊島与志雄 「囚われ」
...在野党に傾く者との区別が暗々裡にあったように思われた...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...人々は実生活に於いて自己の努力で、勝利のクライマツクスを味はふことができないものだから、実生活に幻滅して、小説に慰安を求め、暗々裡に、自ら作中の主人公若しくは女主人公のつもりになつて、一時的な、幻想的な満足を感じようとするのである...
平林初之輔 「商品としての近代小説」
...暗々裡(あんあんり)に妻をして自身の地位を固くせんが為め...
福沢諭吉 「女大学評論」
...暗々裡の物々しい争奪が演ぜられてゐたといふことであつた...
牧野信一 「バラルダ物語」
...暗々裡(あんあんり)に我進歩を礙(さまた)げ...
森鴎外 「鴎外漁史とは誰ぞ」
...やはり暗々裡(あんあんり)に古書の外国記事が...
柳田国男 「海上の道」
...暗々裡(あんあんり)に日本諸島の開発に...
柳田国男 「海上の道」
...いつのまにか暗々裡(あんあんり)に入り込んでいた生活変化は...
柳田国男 「木綿以前の事」
...現在の人類繁栄は実に暗々裡に彼らの安寧を侵蝕しているのである...
柳田国男 「雪国の春」
...吾輩との妥協を絶望と見て取って暗々裡(あんあんり)に事件を揉み消すと同時に...
夢野久作 「爆弾太平記」
...暗々裡(あんあんり)の戦闘は...
吉川英治 「黒田如水」
...彼が今日まで黒暗々裡に...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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