...倉地と岡との間には暗々裡(あんあんり)に愛子に対する心の争闘が行なわれたろう...
有島武郎 「或る女」
...それが木戸番の云った証拠の紙札であることは、すぐに分ったが、気の弱いものは、黒暗々の中で、骸骨の手からそれを受取る勇気がなくて、逃げ出してしまうかも知れない...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...黒暗々(こくあんあん)の闇である...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
... 165彼等の不信いきどほり黒暗々のアイギスを彼等すべてに動かさむ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...それが暗々裏に心理的な作用を(論理的ではない作用を)営んでいるのではないだろうか...
戸坂潤 「読書法」
...彼のうちで暗々裏に...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...二人は暗々裡(あんあんり)に一致して...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...文化的獨立をしようといふ考が暗々裡に動いて居つたので...
内藤湖南 「日本文化の獨立」
...晁氏ガ小雨暗々トシテ人寐ネズ...
永井荷風 「向嶋」
...この烟突とを暗々の裏(うち)に連想せずにはいられなかった...
夏目漱石 「それから」
...人々は実生活に於いて自己の努力で、勝利のクライマツクスを味はふことができないものだから、実生活に幻滅して、小説に慰安を求め、暗々裡に、自ら作中の主人公若しくは女主人公のつもりになつて、一時的な、幻想的な満足を感じようとするのである...
平林初之輔 「商品としての近代小説」
...暗々裡(あんあんり)に妻をして自身の地位を固くせんが為め...
福沢諭吉 「女大学評論」
...その時まで暗々裡(あん/\り)に私はセント・ジョンを何處かわからない所のある人として怖れてゐた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...暗々裡の物々しい争奪が演ぜられてゐたといふことであつた...
牧野信一 「バラルダ物語」
...もしこれを言ふ時は胸裡(きょうり)に記憶したる幾多の詩画を取て暗々(あんあん)に比較して言ふのみ...
正岡子規 「俳諧大要」
...暗々裡(あんあんり)に日本諸島の開発に...
柳田国男 「海上の道」
...内部も暗々黒々として篝(かがり)の火一つみえない...
吉川英治 「三国志」
...「馬がいないよ! 馬がいないよ! おとっさんお客さんの馬って、どこにいるのさ」「げッ、いないって?」「馬糞(ばふん)だけだよ、ここにあるのは」「もう盗(や)られたか」「攫(さら)われたんだね」「風の仕業(しわざ)だ、まるで黒い風の――」この騒ぎに、呼延灼(こえんしゃく)もガバと目をさまし、「なに、烏騅(うすい)が」と、飛び出して来たが、夜は暗々、地の理はわからず、それに飲んだ酒が、顔には一瞬に冷めながら、こめかみの辺では、ぐらぐら、眸(ひとみ)の裏側を、沸(たぎ)らせている...
吉川英治 「新・水滸伝」
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