...倉地と岡との間には暗々裡(あんあんり)に愛子に対する心の争闘が行なわれたろう...
有島武郎 「或る女」
...新聞紙の報道を半分虚伝と思いつつも暗々裡(あんあんり)に認める外はなかった...
内田魯庵 「美妙斎美妙」
...しかしあれは日本の特務機関によって企てられた挑発事件らしいという噂(うわさ)は暗々裡に伝わっていた...
高見順 「いやな感じ」
...中学校にて始めて物理学を学ぶ際に「何故(なにゆえ)にかくのごとく考えざるべからざるか」との疑問が暗々裡に学生の脳裡に起りて何人(なんびと)もこれが解決を与えざるが故に...
寺田寅彦 「自然現象の予報」
... 165彼等の不信いきどほり黒暗々のアイギスを彼等すべてに動かさむ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...だがあなたが暗々裡にそうした氣持をいだいていた以上...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...暗々裏に行う闘(たたか)いに飽いていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...晁氏ガ小雨暗々トシテ人寐ネズ...
永井荷風 「向嶋」
...二人はただ黒暗々(こくあんあん)の闇を歩いて行くだけです...
中里介山 「大菩薩峠」
...この烟突とを暗々の裏(うち)に連想せずにはいられなかった...
夏目漱石 「それから」
...彼は風呂場へ下りた時からすでにある不足を暗々(あんあん)のうちに感じなければならなかった...
夏目漱石 「明暗」
...また大雨遽(にはかに)来り海面暗々たり...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...暗々裡(あんあんり)に日本諸島の開発に...
柳田国男 「海上の道」
...吾輩との妥協を絶望と見て取って暗々裡(あんあんり)に事件を揉み消すと同時に...
夢野久作 「爆弾太平記」
...四顧(こ)暗々(あんあん)たる裾野をにらみつめている...
吉川英治 「神州天馬侠」
...道は暗々(あんあん)として行く手もしれない...
吉川英治 「神州天馬侠」
...暗々(あんあん)たる梢(こずえ)から梢を...
吉川英治 「神州天馬侠」
...糸を染めて掛けた光景を暗々裏に示唆しないでもないが...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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