...横浜出航以来夫人から葉子が受けた暗々裡(あんあんり)の圧迫に尾鰭(おひれ)をつけて語って来て...
有島武郎 「或る女」
...何も見えぬ黒暗々の中に...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...黒暗々たる闇のなかへとそのすがたをけしてしまいました...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...暗々裡(あんあんり)にいたわり慰めてくれているものと取れたが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...そのくらいはまだよいとして弟子共が持って来る中元や歳暮(せいぼ)の付け届け等にまで干渉(かんしょう)し少しでも多いことを希望して暗々裡(あんあんり)にその意を諷(ふう)すること執拗(しつよう)を極めたある時盲人の弟子があり家貧しき故に月々の謝礼も滞(とどこお)りがちであったが中元に付け届けをすることが出来ず心ばかりに白仙羹(はくせんこう)をひと折買って来て情を佐助に訴え...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...さてカントが継起するものは総てそれがある規則に従って結果する処のものを予想すると云う時継起の全体の個々の出来事に又先行するものの全体が個別的に区別されうる個々の関係にほごしうるということを暗々裏に予想している...
戸坂潤 「カントと現代の科学」
...それが暗々裏に心理的な作用を(論理的ではない作用を)営んでいるのではないだろうか...
戸坂潤 「読書法」
...彼のうちで暗々裏に...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...二人は暗々裡(あんあんり)に一致して...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...隆吉はそれを暗々裡に感じて...
豊島与志雄 「反抗」
...こんなことで暗々(やみやみ)と……わたしはお気の毒なのと口惜しいのと怖ろしいのとで...
中里介山 「大菩薩峠」
...此烟突とを暗々(あん/\)の裏(うち)に連想せずにはゐられなかつた...
夏目漱石 「それから」
...この烟突とを暗々の裏(うち)に連想せずにはいられなかった...
夏目漱石 「それから」
...ネオンの御法度に忽ち全東京は青々園や埋木庵が探偵実話を発表してゐたころのやうな時ならぬ暗々世界を現出しだしたので...
正岡容 「旧東京と蝙蝠」
...また大雨遽(にはかに)来り海面暗々たり...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...つまり暗々裡(あんあんり)のかたちにすぎず...
吉川英治 「私本太平記」
...暗々裡な庇護がうごいていた...
吉川英治 「平の将門」
...そうして詳細な考察の結果を暗々裏に前提としつつ...
和辻哲郎 「孔子」
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