...葉子は自分のして見せる蠱惑的(こわくてき)な姿態(しな)がいつでも暗々裡(あんあんり)に事務長のためにされているのを意識しないわけには行かなかった...
有島武郎 「或る女」
...倉地と岡との間には暗々裡(あんあんり)に愛子に対する心の争闘が行なわれたろう...
有島武郎 「或る女」
...それが木戸番の云った証拠の紙札であることは、すぐに分ったが、気の弱いものは、黒暗々の中で、骸骨の手からそれを受取る勇気がなくて、逃げ出してしまうかも知れない...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...暗々の闇のなかにフッとかききえてしまったことも...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...暗々裡(あんあんり)にいたわり慰めてくれているものと取れたが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...そのくらいはまだよいとして弟子共が持って来る中元や歳暮(せいぼ)の付け届け等にまで干渉(かんしょう)し少しでも多いことを希望して暗々裡(あんあんり)にその意を諷(ふう)すること執拗(しつよう)を極めたある時盲人の弟子があり家貧しき故に月々の謝礼も滞(とどこお)りがちであったが中元に付け届けをすることが出来ず心ばかりに白仙羹(はくせんこう)をひと折買って来て情を佐助に訴え...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...其雙眼は迫り來る黒(こく)暗々(あんあん)の夜に閉ぢぬ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...アリョーシャの心は暗々裡に葬られることをいさぎよしとしない...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...暗々裡に私を警戒させるのだ...
豊島与志雄 「理想の女」
...暗々裡にかずをかさねているのではないか...
西尾正 「放浪作家の冒険」
...その時まで暗々裡(あん/\り)に私はセント・ジョンを何處かわからない所のある人として怖れてゐた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...暗々の中に金の保護を仄めかした...
三島霜川 「自傳」
...時局を通じて暗々の裡(うち)に人心を威圧しているのもこの辺に端を発してるのではなかろうか...
夢野久作 「近世快人伝」
...暗々裡(あんあんり)の戦闘は...
吉川英治 「黒田如水」
...大塔ノ宮を暗々(やみやみ)と虐殺しまいらせた者は...
吉川英治 「私本太平記」
...ただ暗々黒裡(あんあんこくり)の闇でしかない...
吉川英治 「新・水滸伝」
...暗々裡な庇護がうごいていた...
吉川英治 「平の将門」
...糸を染めて掛けた光景を暗々裏に示唆しないでもないが...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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