...横浜出航以来夫人から葉子が受けた暗々裡(あんあんり)の圧迫に尾鰭(おひれ)をつけて語って来て...
有島武郎 「或る女」
...人々は暗々裏にそれに脅かされている...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...いまや黒暗々(こくあんあん)たる闇(やみ)につつまれている...
海野十三 「少年探偵長」
...それが木戸番の云った証拠の紙札であることは、すぐに分ったが、気の弱いものは、黒暗々の中で、骸骨の手からそれを受取る勇気がなくて、逃げ出してしまうかも知れない...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...黒暗々(こくあんあん)の闇である...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...多くの物理学者が暗々裏に意識している処に従えば...
戸坂潤 「イデオロギー概論」
...さてカントが継起するものは総てそれがある規則に従って結果する処のものを予想すると云う時継起の全体の個々の出来事に又先行するものの全体が個別的に区別されうる個々の関係にほごしうるということを暗々裏に予想している...
戸坂潤 「カントと現代の科学」
...暗々裡の衆人一致の合意で正当に一挙に廃止されるもののように...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...富子が暗々裡にその解決を迫っているのが彼にはよく分っていた...
豊島与志雄 「囚われ」
...私小説を暗々裡に支援した...
豊島与志雄 「文学に於ける構想力」
...晁氏ガ小雨暗々トシテ人寐ネズ...
永井荷風 「向嶋」
...その時まで暗々裡(あん/\り)に私はセント・ジョンを何處かわからない所のある人として怖れてゐた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...暗々の中に金の保護を仄めかした...
三島霜川 「自傳」
...やはり暗々裡(あんあんり)に古書の外国記事が...
柳田国男 「海上の道」
...時局を通じて暗々の裡(うち)に人心を威圧しているのもこの辺に端を発してるのではなかろうか...
夢野久作 「近世快人伝」
...道は暗々(あんあん)として行く手もしれない...
吉川英治 「神州天馬侠」
...「馬がいないよ! 馬がいないよ! おとっさんお客さんの馬って、どこにいるのさ」「げッ、いないって?」「馬糞(ばふん)だけだよ、ここにあるのは」「もう盗(や)られたか」「攫(さら)われたんだね」「風の仕業(しわざ)だ、まるで黒い風の――」この騒ぎに、呼延灼(こえんしゃく)もガバと目をさまし、「なに、烏騅(うすい)が」と、飛び出して来たが、夜は暗々、地の理はわからず、それに飲んだ酒が、顔には一瞬に冷めながら、こめかみの辺では、ぐらぐら、眸(ひとみ)の裏側を、沸(たぎ)らせている...
吉川英治 「新・水滸伝」
...糸を染めて掛けた光景を暗々裏に示唆しないでもないが...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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