...――夢の中の僕は暑苦しい町をSと一しょに歩いていた...
芥川龍之介 「死後」
...餘り暑苦しいやうなことはない...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...見た眼に暑苦しい...
高見順 「いやな感じ」
...家云うもんは、狭いようでも詰めたら詰まるもんやわな」その夕方、幸子を二階へ案内すると、そのままそこに坐(すわ)り込んでそんな風に話し出す姉であったが、そう云う間にも、もう子供たちが上って来て二人の襟首(えりくび)に取り縋(すが)るので、暑苦しい、下へ行ってなさい、叔母ちゃんのべべが皺(しわ)になるがなと、姉は絶えず叱(しか)りつづけつつ言葉を継がなければならなかった...
谷崎潤一郎 「細雪」
......
種田山頭火 「行乞記」
...……今日も午後は六丁釣場へ出かけた、先客一人、なか/\上手に釣つてゐる、私もゆつくり構へこんだが、痔が痛むし、暑苦しいし、その上、近在の河童小僧連が押し寄せてうるさいので、早々切りあげて戻つた...
種田山頭火 「其中日記」
...あんまり暑苦しいのでしばらく散歩...
種田山頭火 「其中日記」
...暑苦しい洋服に制帽を冠(かぶ)った七八つの彼を引っ張って...
徳田秋声 「仮装人物」
...秀子と山田とは階下の狭い暑苦しい室で我慢をしなければならないこともあった...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...蚊帳へはひると有繋に暑苦しいので「うゝん」と唸るやうな聲を出してごろ/\して居ると娘は又臺所へ行つて何かこと/\音を立てゝ居る...
長塚節 「開業醫」
...ただそれぎりの裏(うち)に暑苦しい世の中をまるで忘れた光景が出てくる...
夏目漱石 「草枕」
...暑苦しい蚊帳(かや)の中で...
夏目漱石 「行人」
...もう暑苦しいといってよい頃であったが...
西田幾多郎 「或教授の退職の辞」
...着物が透いてゐても却つて暑苦しい...
長谷川時雨 「夏の女」
...真夏の暑苦しい夜を一睡もせず明かしてしまった...
浜尾四郎 「彼は誰を殺したか」
...「然し随分暑苦しいことだらうな...
牧野信一 「夜の奇蹟」
...そこでおれは美しい正方形のつめくさの絨氈の上で夕方までいろいろ踊るといふのはどうだ あんな単調で暑苦しい蔬菜畑の仕事にくらべていくら楽しいかしれないと考へた...
宮沢賢治 「花壇工作」
...暑苦しい粧ひの汗を...
吉川英治 「折々の記」
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