...時しも凩にゆらぐ日輪が...
芥川龍之介 「奉教人の死」
...時しも頃は若人の心が高きに向う晩春なので...
石川欣一 「可愛い山」
...時しも、鬱金(うこん)木綿が薄よごれて、しなびた包、おちへ来て一霜(ひとしも)くらった、大角豆(ささげ)のようなのを嬉しそうに開けて、一粒々々、根附だ、玉だ、緒〆(おじめ)だと、むかしから伝われば、道楽でためた秘蔵の小まものを並べて楽しむ処へ――それ、しも手から、しゃっぽで、袴(はかま)で、代書代言伊作氏が縁台の端へ顕(あら)われるのを見ると、そりゃ、そりゃ矢藤さんがおいでになったと、慌(あわただ)しく鬱金木綿を臍(へそ)でかくす……他なし、書画骨董の大方を、野分のごとく、この長男に吹さらわれて、わずかに痩莢(やせざや)の豆ばかりここに残った所以(ゆえん)である...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...時しもあれや、徒然(つれ/″\)の醉(ゑひ)は稚(をさな)き心に浮び、狂ほしきハルモニカの吐息(といき)の如く姉が靜かになづさはる其愛撫(そのいたはり)に小休(をやみ)なく湧き出(い)でゝまた消えはつるせつなき思(おもひ)...
アルテュル・ランボオ 上田敏訳 「虱とるひと」
...時しもあれや、運河の上(うへ)、大西洋定期船(たいせいやうていきせん)の汽笛(きてき)の聲...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...雑木は時しもの新緑に...
江見水蔭 「怪異黒姫おろし」
...この時しも、お銀様は飄々(ひょうひょう)として寝覚の里のあたりをそぞろ歩いておりました...
中里介山 「大菩薩峠」
...時しも五月のはじめつかた...
萩原朔太郎 「純情小曲集」
...これだから寄席稼業は止められませんやと席亭大恐悦でいる時しもあれや...
正岡容 「艶色落語講談鑑賞」
...時しもあれや東の方...
正岡容 「旧東京と蝙蝠」
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三好達治 「一點鐘」
...陽物(ようぶつ)だから時しも春更(た)けて...
吉川英治 「三国志」
...――時しもこよいは上元の佳節...
吉川英治 「三国志」
...三時しも春...
吉川英治 「三国志」
...時しも孔明は、隴西の麦を押える目的で、鹵城(ろじょう)を包囲し、守将の降(こう)を容れて、「麦は今、どの地方がよく熟しているか」と、その降将に質問していた...
吉川英治 「三国志」
...時しもあれ――ほど遠からぬところにあって...
吉川英治 「神州天馬侠」
...時しも非常ながら...
吉川英治 「新・水滸伝」
...そんな孫どもや子息やまた、それにつながる係累(けいるい)の救われない生活ぶりを眺めていると、太政入道は、時にひとり憤(いきどお)ろしくなって、「いっその事、天譴(てんけん)があらわれて、こんな痴児(ちじ)はみな、海嘯(つなみ)に攫(さら)われてしまえ」と、世の為に憂うることもままあったが、時しもあれ、九月下旬、兵衛佐頼朝、其後モ生存アツテ、武総(ムソウ)ノ隅田河原ニ陣シ、千葉、上総、甲信、武相ノ諸源氏ヲ語ラヒ、兵員三万余騎ト聞エ、ソノ勢(イキホヒ)逐日(チクジツ)熾烈(シレツ)...
吉川英治 「源頼朝」
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