...昨年の秋からは、妻にも明らかに栄養失調の徴候が現われ始めた...
伊丹万作 「わが妻の記」
...昨年の秋最後の恩師竹内栖鳳先生を失った...
上村松園 「三人の師」
...ところが昨年の秋...
太宰治 「服装に就いて」
...怪しき老婆この物語は、昨年の秋の末、九州のごく西のはずれの大村という城下町の、その侍小路のふるい屋敷町におこったできごとです...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...お春が最初手ほどきをして貰ったのは一昨年の秋のことで...
谷崎潤一郎 「細雪」
...一昨年の秋、新婚旅行以来九年ぶりに東京へ来た時にも、こいさんと板倉との恋愛を素っ葉抜いた啓坊の手紙に驚かされて、全く今夜と同じような眠られない一と夜を過したのであったが、去年の初夏、二度目に来た時にも、―――直接自分に関係したことではなかったけれども、―――ちょうど歌舞伎座観劇中に呼び出されて、板倉の重態を知らされたのであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...昨年の秋泰西漫遊(たいせいまんゆう)に出かけて...
田山花袋 「田舎教師」
...昨年の秋鉄道の方でも...
中谷宇吉郎 「凍上の話」
...昨年の秋は紫の花を澤山咲かせてゐたが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...一昨年の秋で」「お寅さんといふのは?」「――」「奉公人か」「え...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...殊に昨年の秋以来...
浜尾四郎 「悪魔の弟子」
...昨年の秋、どこかの戦争で重傷を受けて帰り、貝津藤吉という手下を連れて木賀の湯へ湯治に行ったが、それっきり帰って来なかった...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...昨年の秋、秋作氏の求婚にたいして、あなた、貧乏だから、いや、と、にべもない返事をしたのは、決して本心ではなかったのだ...
久生十蘭 「キャラコさん」
...一昨年の秋の或る朝...
堀辰雄 「菜穂子」
...書類は全部散乱いたしたる後にて「署名」が何うしても見つかりませんでしたので、つひ御返事を申しおくれましたが、今日不図思ひ出したら、一昨年の秋頃、友人の某作家(頭の病気を患つて近くの温泉に保養に来てゐた...
牧野信一 「初夏通信」
...それは二年まえからのことだそうで、森半太夫の話によると、一昨年の秋に、三人の娼婦が養生所へ救いを求めて来た...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...最も甚だしいのは、昨年の秋の事、二三十人申し合わせたらしく、性教育の必要を高唱した投書が、しかも堂々と署名して箱一パイに投げ込まれた……という事も今初めて書く...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...藤夜叉が村へ入ったのは昨年の秋ごろだった...
吉川英治 「私本太平記」
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