...僕は確か一昨年の夏...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...一昨年の夏、早稻田文學社から「實社會に對する我等の態度」と云ふ往復葉書の質問を受取つた時、自分は「私の今、力を集注しなければならないところは、どうしても自分自身の事ですから、大體の態度としては、成る可く實社會との深入した葛藤を逃げなければならないと思つてゐます...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...昨年の夏、一月許り病氣をして、ために東京では飯喰ふ道を失ひ、止むなく九月の初めに、友を便つて乞食をしながら八戸迄東下りをした...
石川啄木 「雲は天才である」
...昨年の夏、東恩納(ひがしおんな)〔寛惇(かんじゅん)〕君が帰省したので、二人で琉球語の金石文を読みに浦添(うらそえ)の古城址を訪ずれたが、思いがけずも灰色の瓦の破片が其処此処(そこここ)にころがっているのを見た...
伊波普猷 「土塊石片録」
...昨年の夏、私は十年振(ぶ)りで故郷を見た...
太宰治 「故郷」
...昨年の夏は心にもない失礼を致しまして申訳御座いません...
辰野九紫 「青バスの女」
...――Tさんはとう/\死んださうな、葬式には私も列したいと思ふ、読経回向しなければならない、Tさんは不幸な人だつた、幼にして母を失ひ、継母にいぢめられ、やゝ長じては父に死なれて、多少の遺産を守るに苦しんだ、そしてさらに不治の病気に犯され、青春の悦楽をも味ふことが出来なかつた、彼は樹明君の幼馴染であり、その縁をたどつて、私は一昨年の夏、庵が整ふまで、一ヶ月ばかりの間、その離座敷に起臥してゐた、彼は善良な人間だつた、句作したいといつて、私の句集なども読んでくれた、私は彼の余命がいくばくもなからうことを予感してゐたが、……樹明君は情にあつい人である、Tさんの友達としては樹明君だけだつたらしい、樹明君は病床のTさんを度々おとづれて、或る時は、東京音頭を唄うて、しかも踊つて慰めたといふ、病んで寂しがるTさんと酔うて踊る樹明君との人間的感応を考へるとき、私は涙ぐましくならざるを得ない...
種田山頭火 「其中日記」
...其後一昨年と昨年の夏は照が大好きの信州沓掛の星野温泉地の小屋で樂しく夏を過しました...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...其手は昨年の夏握ったトルストイの手の様に大きく温(あたたか)であった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...ちょっと着がえをいたしてまいりますよ」一の二武男は昨年の夏初め...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...米英軍が昨年の夏ノルマンディーに上陸してから...
中谷宇吉郎 「霧を消す話」
...昨年の夏、雪氷永久凍土研究所の遠征隊は、ボーリングによって、氷冠の中の深いところから、氷の標本を採ることに成功した...
中谷宇吉郎 「白い月の世界」
...この人が昨年の夏頃作った詩がある...
新渡戸稲造 「真の愛国心」
...昨年の夏至の日には...
野村胡堂 「古城の真昼」
...その上昨年の夏頃から...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...我(わが)短歌会は昨年の夏より秋にかけていちじるく進みたるが冬以後一頓挫(とんざ)したるが如し...
正岡子規 「墨汁一滴」
...一昨年の夏行ったきりでしたから...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...その範宴の身辺には昨年の夏ごろから大きな問題が起っている...
吉川英治 「親鸞」
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