...一昨年の夏、早稻田文學社から「實社會に對する我等の態度」と云ふ往復葉書の質問を受取つた時、自分は「私の今、力を集注しなければならないところは、どうしても自分自身の事ですから、大體の態度としては、成る可く實社會との深入した葛藤を逃げなければならないと思つてゐます...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...昨年の夏、東恩納(ひがしおんな)〔寛惇(かんじゅん)〕君が帰省したので、二人で琉球語の金石文を読みに浦添(うらそえ)の古城址を訪ずれたが、思いがけずも灰色の瓦の破片が其処此処(そこここ)にころがっているのを見た...
伊波普猷 「土塊石片録」
...所收――「風の便り」「新郎」「誰」「畜犬談」「鴎」「猿面冠者」「律子と貞子」「地球圖」昨年の夏に出版せられた創作集「千代女」の以後の作品を集めて...
太宰治 「『風の便り』あとがき」
...昨年の夏には、玄関の傍に南天燭(なんてんしょく)を植えてやった...
太宰治 「彼は昔の彼ならず」
...昨年の夏は田植最中に大勢官吏が押込んで來て...
田中正造 「土地兼併の罪惡」
...昨年の夏頃が一番不人気な時期であったようである...
中谷宇吉郎 「雨を降らす話」
...昨年の夏、雪氷永久凍土研究所の遠征隊は、ボーリングによって、氷冠の中の深いところから、氷の標本を採ることに成功した...
中谷宇吉郎 「白い月の世界」
...もう一昨年の夏の話であるが...
中谷宇吉郎 「清々しさの研究の話」
...親父(おやじ)は昨年の夏なくなったんだよ」「へっ」といって木之助はしばらく口がふさがらなかった...
新美南吉 「最後の胡弓弾き」
...愛らしい生々した子であったが、昨年の夏、君が小田原の寓居の中に意外にもこの子を失われたので、余は前年旅順において戦死せる余の弟のことなど思い浮べて、力を尽して君を慰めた...
西田幾多郎 「我が子の死」
...もう昨年の夏から...
野村胡堂 「青い眼鏡」
...昨年の夏至の日には...
野村胡堂 「古城の真昼」
...彼は昨年の夏以来...
原民喜 「永遠のみどり」
...すると一昨年の夏のことでがした...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...それが一昨年の夏だったか...
古川緑波 「富士屋ホテル」
...一昨年の夏行ったきりでしたから...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...いずれも昨年の夏迄に不良少女や友達に与えられたものである...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...その範宴の身辺には昨年の夏ごろから大きな問題が起っている...
吉川英治 「親鸞」
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