...昨年の夏にも、北さんと中畑さんとが相談して、お二人とも故郷の長兄に怒られるのは覚悟の上で、私の十年振りの帰郷を画策(かくさく)してくれたのである...
太宰治 「故郷」
...昨年の夏は心にもない失礼を致しまして申訳御座いません...
辰野九紫 「青バスの女」
...――Tさんはとう/\死んださうな、葬式には私も列したいと思ふ、読経回向しなければならない、Tさんは不幸な人だつた、幼にして母を失ひ、継母にいぢめられ、やゝ長じては父に死なれて、多少の遺産を守るに苦しんだ、そしてさらに不治の病気に犯され、青春の悦楽をも味ふことが出来なかつた、彼は樹明君の幼馴染であり、その縁をたどつて、私は一昨年の夏、庵が整ふまで、一ヶ月ばかりの間、その離座敷に起臥してゐた、彼は善良な人間だつた、句作したいといつて、私の句集なども読んでくれた、私は彼の余命がいくばくもなからうことを予感してゐたが、……樹明君は情にあつい人である、Tさんの友達としては樹明君だけだつたらしい、樹明君は病床のTさんを度々おとづれて、或る時は、東京音頭を唄うて、しかも踊つて慰めたといふ、病んで寂しがるTさんと酔うて踊る樹明君との人間的感応を考へるとき、私は涙ぐましくならざるを得ない...
種田山頭火 「其中日記」
...昨年の夏は佐藤定吉博士の開かれた淺間山麓の夏期修養會の禮拜に家族一同と共に出席して...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
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中谷宇吉郎 「赤倉」
...即ち昨年の夏の初めに発表した...
中谷宇吉郎 「硝子を破る者」
...もう一昨年の夏の話であるが...
中谷宇吉郎 「清々しさの研究の話」
...昨年の夏根室で行なった霧の綜合研究の中に...
中谷宇吉郎 「農業物理学夜話」
...昨年の夏ちょっと補足実験をやるためにまたアメリカへ行った時も...
中谷宇吉郎 「娘の結婚」
...親父(おやじ)は昨年の夏なくなったんだよ」「へっ」といって木之助はしばらく口がふさがらなかった...
新美南吉 「最後の胡弓弾き」
...もう昨年の夏から...
野村胡堂 「青い眼鏡」
...ところが昨年の夏も終り近く...
浜尾四郎 「悪魔の弟子」
...こうやってとうとう昨年の夏まできてしまったのだ...
浜尾四郎 「黄昏の告白」
...昨年の夏、妻は遂に女児を生みました...
浜尾四郎 「途上の犯人」
...彼は昨年の夏以来...
原民喜 「永遠のみどり」
...我(わが)短歌会は昨年の夏より秋にかけていちじるく進みたるが冬以後一頓挫(とんざ)したるが如し...
正岡子規 「墨汁一滴」
...此種の横暴には我輩大左袒大賛成である今に新円本出版の続出するのは何故か円本の全盛期は昨年の夏秋頃で...
宮武外骨 「一円本流行の害毒と其裏面談」
...その範宴の身辺には昨年の夏ごろから大きな問題が起っている...
吉川英治 「親鸞」
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