...どうも「昔々」だけ書いてすましてゐると云ふ訳には行(ゆ)かない...
芥川龍之介 「澄江堂雑記」
...「この野郎は、内儀(おかみ)さんが離屋の床下に入れて、生命(いのち)がけで守っていた一万両の隠し場所を嗅(か)ぎつけ、母家の二階に戸板に仕掛けた弓を持ち込み、槍の中心(なかご)に、紐をつけて射込んだのですよ、昔々、石弓(弩(いしゆみ))というものを戦(いくさ)のとき使ったというが、板に弓を留めて射ると、かなりの重いものでも、狙い違(たが)わず遠くへ射込める、庇(ひさし)にそれを仕掛けて石の代りに槍の中心をつがえ、着換をして、これから寝ようとしている内儀さんの首を射た」「――」聴く人は固唾(かたず)を呑むばかり、平次の絵解きは誰も想像もしなかった程(ほど)の変ったものです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...昔々御所刑(ごしょけい)になった...
野村胡堂 「天保の飛行術」
...昔々しきりに思う...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
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萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...「昔々しきりに思ふ慈母の恩」...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...ナムアミダブツのお釈迦様!帰郷古里の山や海を眺めて泣く私です久々で訪れた古里の家昔々子供の飯事に私のオムコサンになつた子供は小さな村いつぱいにツチの音をたてゝ大きな風呂桶にタガを入れてゐるもう大木のやうな若者だ...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...緋娑子さんが、この前に遊びに来たのは、去年の暮れごろのことだったから、むかしといったって、まだ、半年そこそこにしかならないが、緋娑子さんの咏歎(えいたん)をきいていると、それが、『昔々、あるところに』の、あの『大昔』のようにきこえる...
久生十蘭 「キャラコさん」
...昔々の名優大井新太郎が一幕出してゐる...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...何でも金になる話昔々一人のたいへんなお金持がありました...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...お伽噺△昔々ある処に七郎といふ大へんに勇ましい少年がありました...
牧野信一 「〔編輯余話〕」
...」北欧の――ゴール? と云つたか、ガスコンであつたか? ちよつと堂忘れしたが、奴等のなりはひは長蛇船のかひをそろへた海賊であつた、昔々、未だどちらを向いても王国などゝいふものもなく誉れに富んだ騎士も住まず、桂冠詩人の詩集はおろか、羊の皮表紙の物語本一冊もなかつた荒海の、荒地の、ツンドラ地帯に吹きまくる嵐を衝いて掠奪と殺りくが勝負であつたイクサ人達は、偃月刀をふりかざして生きまくつてゐるのみであつたが、人間のロマンテイシズムの血は文明の深差に関はりなく、事態が非常であればあるほど限りない夢であつて、それらの海賊は、海賊ながらも全部が、詩人であつたと聞く...
牧野信一 「浪曼的月評」
...誰が!寄席ぐろてすく昔々大正の頃...
正岡容 「艶色落語講談鑑賞」
...尊げな言葉は昔々聞かされてゐるが...
正宗白鳥 「新しくもならぬ人生」
...昔々野猪と蛙が平地から山の絶頂まで競争しようと懸かった...
南方熊楠 「十二支考」
...一〇二―一〇五雨風祭一〇九昔々一一五―一一八歌謡一一九一遠野郷(とおのごう)は今の陸中上閉伊(かみへい)郡の西の半分...
柳田国男 「遠野物語」
...昔々ひどい凶作の年に...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...竈神之由来昔々爺と婆があった...
柳田国男 「雪国の春」
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