...その往還にも、昔は、電信柱が行儀よく列んで、毎日午(ひる)近くなると、調子面白い喇叭(ラツパ)の音を澄んだ山国(さんごく)の空気に響かせて、赤く黄く塗つた円太郎馬車が、南から北から、勇しくこの村に躍込んだものだ...
石川啄木 「赤痢」
...昔は沼地であったものを埋め立てて田としたのであるから...
相馬愛蔵、相馬黒光 「一商人として」
...ここは朝鮮王朝の昔の王宮のあったところだから宏壮なのは当然である...
高見順 「いやな感じ」
...板一まい下は地獄と昔からきまっていますが...
太宰治 「パンドラの匣」
...昔自分の使った口紅を毒々しく唇に塗りながら臨終を遂げる芝居を見たことがあったが...
橘外男 「令嬢エミーラの日記」
...まるで昔の時代をわきまえず...
津田左右吉 「陳言套語」
...昔の人はうまいことを言ったものですね...
豊島与志雄 「波多野邸」
...その可愛がり方はまた昔のようではありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...昔、三井(みつい)であったか、鴻池(こうのいけ)であったかのお嬢様が、ある時、述懐して言うことには、「世間の人が、お金が無くって困ると口癖に言いやるけれど、いくらお金が無いと言いやる人でも、箕(み)に一杯や二杯は持っていることだろう」と...
中里介山 「大菩薩峠」
...歴史とは、昔、在った事柄(ことがら)をいうのであろうか? それとも、粘土板の文字をいうのであろうか?獅子狩(がり)と、獅子狩の浮彫(うきぼり)とを混同しているような所がこの問の中にある...
中島敦 「文字禍」
...」「昔(むかし)...
新美南吉 「花のき村と盗人たち」
...経済状態と道徳的態度の変化昔の経済社会とは違って近代は一国内における経済現象(げんしょう)さえなかなか複雑(ふくざつ)になって来ているに...
新渡戸稲造 「自警録」
...昔の人の慣(なら)はしでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...昔をお忘れにならないお志は現代の風潮と変わったありがたいことと...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...昔の戦争の日に戻りたがる人は...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...七夕の由来として次のような昔話が伝わっている...
柳田国男 「年中行事覚書」
...昔はここで訴願などを受付けたという...
山本周五郎 「似而非物語」
...譬(たと)えば大昔の軍人と中昔の軍人と...
夢野久作 「能とは何か」
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