...戸内を覗(のぞ)くと、明らかな光、西洋蝋燭(ろうそく)が二本裸で点(とも)っていて、罎詰(びんづめ)や小間物などの山のように積まれてある中央の一段高い処に、肥(ふと)った、口髭(くちひげ)の濃い、にこにこした三十男がすわっていた...
田山花袋 「一兵卒」
...だからここで明らかなように軍部は外務当局の交渉振りの監視に任じているのである...
戸坂潤 「社会時評」
...その中には明らかな事実があり...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...墨子並びに孟子の編者は何れも尚書を見て居ることは明らかなことであるが...
内藤湖南 「禹貢製作の時代」
...齊王芳の世を包括せること明らかなり...
内藤湖南 「卑彌呼考」
...そうして、両眼の明らかな、心術の正直な同行の人が、現物を指して、島があるというのだから、弁信が考え込まざるを得なくなったので、「米友さん、違やしませんか、もしやそれは、水の上や海岸に起りがちな蜃気楼(しんきろう)というものではありませんか――そちらの方に竹生島があるとは、どうしても考えられません」それをも米友は、頑(がん)として受けつけないで言いました、「蜃気楼なら、おいらも伊勢の海にいて知っているよ、あんな竜宮城とは違うんだ、そら、あの通り岩で出来て、木の生えた島が浮いている」「では、やっぱり、竹生島でございましょうかしら、いつのまにか舟が北をめぐって、そうして竹生島の裏へ出たのかもしれません、そういうはずはありません、断じてありませんが、事実が証明する上は仕方ございません、わたくしの勘のあやまちでございましたか、或いは出舟の際の水先のあやまりでございましたか……」「とにかくあの島へ舟を着けてみるぜ、いいかい、弁信さん」百三十六しかしながら、これは米友の眼の誤りでないことは勿論(もちろん)、弁信の勘の間違いでもなかったのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...前大戦後の独逸の状況が一番明らかな例であって...
中谷宇吉郎 「硝子を破る者」
...雲間から明らかな日が射した時のように晴やかな心持になる...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...歴史上の事実としては明らかなる証拠を世に伝うることは必要である...
新渡戸稲造 「自警録」
...村上(むらかみ)天皇の頃には既に世間に行われておったということは明らかな証拠があります...
橋本進吉 「古代国語の音韻に就いて」
...この庭も現実の明らかな事実としてあらわれたとき...
ホーソーン Nathaniel Hawthorne 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...男以上に頭の明らかな主婦が...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...我々のように明らかな眼を持たなかったからだ」と言うであろうか...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...明らかな跫音が、家の外にも家の奥にも聞えた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...そうして明らかな仏眼は...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...昔の人にも明らかなことであったろう...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...言うまでもなく明らかなことである...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
...自分は現代の画家中に岸田君ほど明らかな「成長」を示している人を知らない...
和辻哲郎 「『劉生画集及芸術観』について」
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