...よくない仕事の方便として...
芥川龍之介 「偸盗」
...又藝術の鑑賞から出發して深き生命感情の心裡に横溢することを感ずるとき――その時我等は唯方便としてのみ意義ある生活をしてゐるのであるか...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...藝術を唯方便としてのみ評價せむとする俗人を防禦すればそれで足りるのである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...之に近づく方便として...
高木敏雄 「比較神話学」
...方便として、禁酒節酒の仮面を被らうかとも思ふ、私は勿論、酒からは離れ得ないが、人から離れたいのである、人間(私のやうな人間でも)全然は孤独ではあり得ないけれど、孤独でありたいと願ひ、また、孤独であることの出来る時機がある、私は今、さういふ時機に直面してゐるやうである、……なほよく考ふべし...
種田山頭火 「其中日記」
...そうして古い意味での deterministic な考え方は一つのかりの方便としてしか意味をもたなくなって来た...
寺田寅彦 「量的と質的と統計的と」
...若し已むを得ない方便として假面を冠る必要があるなら...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...人間は自分を通じて先祖を後世に伝える方便として生きてるのか...
夏目漱石 「おはなし」
...母と兄夫婦の来るのはこの不足填補(ふそくてんぽ)の方便として自分には好都合であった...
夏目漱石 「行人」
...二人の間に存在する精神上の要求を充(み)たす方便としてはむしろ失敗に帰してしまった...
夏目漱石 「道草」
...人間は自分を通じて先祖を後世(こうせい)に伝える方便として生きているのか...
夏目漱石 「無題」
...ただ刺戟(しげき)の方便として読むだけで...
夏目漱石 「門」
...方便としても長く続くものでなく...
新渡戸稲造 「民族優勢説の危険」
...専ら道徳の旨を奨励するその方便として...
福沢諭吉 「徳育如何」
...乱世の方便としての世渡りに...
吉川英治 「宮本武蔵」
...衆生救済の方便として用いられる可能性を持っていた...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...たとい方便として利用せられたとしても...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...ただ貿易のための方便として渋々布教を許しているような平戸の領主から...
和辻哲郎 「鎖国」
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