...折り目の正しい白ズボンに白靴(しろぐつ)をはいた彼の脚は窓からはいる風のために二つとも斜めに靡(なび)いている! 彼はこう言う光景を見た時...
芥川龍之介 「馬の脚」
...中が少くなったが斜めに浮いて見える...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...この人は!」女は斜めにそり返つて...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...ベルヴュー並み木道の右手にある広い粗林を斜めに横ぎって...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...四半分ほど斜めに見えた...
夏目漱石 「行人」
...門の扉の横から斜めに往来へさし出した...
夏目漱石 「こころ」
...ちょうど堀(ほり)の塀際(へいぎわ)から斜めに門の上へ長い枝を差し出しているので...
夏目漱石 「明暗」
...「三つ眼小僧か、――それとも」「眼のさめるやうな、綺麗な若衆ですよ、親分」「それなら驚くことは無いぢやないか」「それが、その、娘と寄り添つて、頬と頬と斜めに、古風な色模樣ぢやありませんか、――お前今度は何時來るえ?――斯う人眼につくやうでは繁々も來られない、次はお月樣が出なくなつてから、――いや、いや、いや、私はもう、――」「何んだえ、それは?」「娘と若衆の聲色(こわいろ)」「見て來たやうぢやないか」「叔母さんの受け賣ですよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...身体を斜めにして早足で見て行くうちに...
久生十蘭 「蝶の絵」
...彼等にとつては黄の光りを斜めに強く振るべきなのであつた...
牧野信一 「ラガド大学参観記」
...太陽は大きく斜めに空にかかって...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...斜めに寛々と地上へ下り著(つ)くを見て...
南方熊楠 「十二支考」
...他の一方には裏口の崖(がけ)を斜めに...
柳田國男 「地名の研究」
...その胸元へピッタリと斜めに食いついている磨きの十手...
吉川英治 「江戸三国志」
...「娘、娘」さっきから外で、下駄の歯の雪をたたきながら、こう呼んでいた十徳着の老人は、戸を開けると、不審そうに、「オヤ、灯明(あかり)が消えた……」吹雪が、土間の中へ、斜めに、白い光の縞を投げこんで、妖しげなすすり泣きを吹き攫(さら)った...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
...陸路荊州まで斜めに数百里のあいだ同じ備えが諸所の峰にあった...
吉川英治 「三国志」
...支度はよいかッ」そこから大声で家中の者へ呼ばわりながら、光秀は、その壺(つぼ)を、両手で斜めに、肩のあたりまでさしあげた...
吉川英治 「新書太閤記」
...『――う、うぬッ』周平が振り込んだ一薙(ひとな)ぎは、斜めに、門の柱へ斬りこんでいた...
吉川英治 「夕顔の門」
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