...文句なしに支払いをする...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...文句なしに畠を通してくれました...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...突き放さるればまた文句なしに突き放されて行く小舟を...
中里介山 「大菩薩峠」
...文句なしに新聞記者を選ぶだろう...
野村胡堂 「胡堂百話」
...するが町広重の見た富士が見え私は文句なしに天位にした...
野村胡堂 「胡堂百話」
...今度は文句なしに...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ハッチが水を飲むということは、文句なしに、簡単明瞭(めいりょう)に船体の沈没を意味するものであった...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...文句なしに犯人素質者のフレームに入れられ...
久生十蘭 「虹の橋」
...文句なしに立派に出掛けて来た...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...自分のことは文句なしに差し措(お)いて...
本庄陸男 「石狩川」
...文句なしに肯定していた...
本庄陸男 「石狩川」
...文句なしに安心して...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「なぐり合い」
...「こんな暮しは御免だ、飽き飽きした、……おふくろはいつもそう云ってた、満足に食いてえ物も食えねえ、着てえ物も着られねえ、おまえさんなんかと一緒になるンじゃアなかった、……こいつを口癖のように云った、いつも頭が痛え、腰が痛え、眩暈(めまい)がする腹がやめる、疲れて起きられねえから、おまえさん起きて釜の下を焚きつけて呉れ、……そして、そのくせ夜中になれば、父をそっと寝かしたこたアねえ、むりむてえかかってくんだ、否も応もねえ、むりむてえ、文句なしなんだ、……たまには父もいやだでとおすことがあった、誰にだって、どんなに強くったって、そこは男は女たア違う、どういきんでもいきみきれねえ時があらア、……知れたこッたが無事にゃアおさまらねえ、おれの口じゃア云えねえような悪態だ、帝釈(たいしゃく)様も耳を押えたくなるような悪態の始まりだ」「女はつまらねえもんだ、まるで下女下男みてえだ、……これがおふくろのもう一つの口癖だった」彼はひと口飲んで続けた、「男は外で勝手な事をする、ちっとばかりの稼ぎで酒も飲む、隠れて悪遊びもするが、女は家にひっこんでぼろの縫い繕い、煮炊き洗濯、子供の世話から暮しの心配から、いやな事はみんな女の役だ、下女下男なら給銀てえものがあるが、女房にゃアそれもねえ、働きどおし働いて、これッぽちも楽しい思いをしねえで、亭主にこき使われ、牛馬のように一生を終ッちまう、これが女の一生だ、……ああ、……だがおらあ知ってるんだ、おらあ、……この眼で見て、この耳で聞いて知ッてるんだ、おふくろは父が稼ぎに出るとのこのこ起きだして来る、父の炊いてった飯を食う、それから近所の嬶たちを呼ぶか、こっちから押掛けるかして、十文が菓子を買ってがぶがぶ茶を飲みながら、……緞帳(どんちょう)芝居の役者評判か色噺(ばなし)か、近所合壁(がっぺき)の悪口が始まる、……恥も外聞もねえような、男も顔が赤くなるような下劣なことを饒舌って、げらげら笑って、しめえにゃアてんでんが、てめえの亭主を裸にするようなことをぬかしゃアがる、……嘘アつかねえ、おらあこの眼で見た、この耳で聞いた、おらあちゃんと知ってるんだ」「父はいい人間だった」ひと息いれて松は話し継いだ、「――おふくろになんと云われても、決して口答えはしなかった、……済まねえ、おれに甲斐性(かいしょう)がなくッて申し訳がねえ、もうちっとだから辛抱して呉んねえ、……だが旦那、父だって人間だ、一寸じゃねえかもしれねえ、五分ぐれえかもしれねえが、五分の虫にだって二分五厘の魂はあらア、たまにゃあむしゃくしゃして肚(はら)も立つだろう、やけくそなような気持にだってなるこたアあらア、……稼いでも稼いでも、正直一方でこすい事が出来ねえ、いつも下積みでうだつがあがらねえ、女ア知らねえから外で勝手なまねをしていると思ってる...
山本周五郎 「嘘アつかねえ」
...そうなれば文句なしに縛れますからね」と万三郎は三人の顔を見た...
山本周五郎 「風流太平記」
...なんとその一項に「出席者は一万枚以上所有者に限る」とあって我々文句なしにギャフン...
山本笑月 「明治世相百話」
...文句なしに頭を縦に振らせられてしまったが……しかし……というので吾輩の方からも一つの条件を持ち出したもんだ...
夢野久作 「爆弾太平記」
...思えば、その方々へ、蔭膳(かげぜん)の礼もせずに、今日、一杯の酒とて、飲めた義理ではござりますまいに」と、窘(たしな)めて、文句なしに、扱いすませたということである...
吉川英治 「新書太閤記」
...兄貴のフェリックスが文句なしに首から上ほかのものより大きい...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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