...さといふ音もなく一時に散り果てたかの樣に...
石川啄木 「葬列」
...竹の皮散り、貧乏徳利の転(ころが)った中に、小一按摩は、夫人に噛(かじ)りついていたのである...
泉鏡花 「怨霊借用」
...今はたその姿大方散りぼひたり...
伊良子清白 「孔雀船」
...戰いて散りこぼれた月日の落葉は一體どうなつたのだらう...
レミ・ドゥ・グルモン Remy de Gourmont 上田敏訳 「落葉」
...しづかに飲む、おのづから酔ふ、山は青くして水の音、鳥が啼きます、花が散ります、あああ...
種田山頭火 「其中日記」
...月影(つきかげ)爪先(つまさき)に散り行く...
徳冨蘆花 「良夜」
...空中に融(と)け散り...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...銚子は卓上に砕け散り...
豊島与志雄 「水甕」
...床(とこ)の間(ま)の梅がもう散りはじめた...
永井荷風 「すみだ川」
...そのために、結び紐(ひも)がとけ、紙片が飛び散り、従僕たちはすべてをふたたび整理するために大いに骨を折らなければならなかった...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...花は散りぬ」というのがその電文であった...
久生十蘭 「淪落の皇女の覚書」
...四方(あたり)にとび散りながら...
平林初之輔 「探偵戯曲 仮面の男」
...みな散り散りとなつてしまひ...
北條民雄 「道化芝居」
...今此處にて森の上に落しなば蔓は再び樹にまつはり花は無殘に散り落つべし...
正岡子規 「花枕」
...この罷業はマロニエの花が散り...
横光利一 「欧洲紀行」
...お袖は?」もう散り初めてきた柳並木を...
吉川英治 「大岡越前」
...桃の花はみな散り尽して黒い花の蕋(しべ)を梢に見るだけであった...
吉川英治 「三国志」
...岩の襞には散り残りの紅葉が燃えていた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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