...落葉がかなり散り敷いて草の葉末にも懸ったりして見える中に...
飯田蛇笏 「茸をたずねる」
...法恵(ほふゑ)の雨とし散りぞこぼ((みだ))るる...
石川啄木 「公孫樹」
...つひに曉(さと)らで傷つける幼き年の滅びゆく吐息を洩(もら)し夢の緒(を)に貫(ぬ)きたる冷(ひや)き寶玉(はうぎよく)の散りこぼるゝを思ふらむ...
ステファンヌ・マラルメ Stephane Mallarme 上田敏訳 「エロディヤッド」
...秋ならぬ風に散りゆく露の命葉(いのちば)...
高山樗牛 「瀧口入道」
...一枚散り二枚落ちていって...
竹久夢二 「玩具の汽缶車」
...雲は散り失(う)せていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...しかし今見れば散りつもる落葉の朽ち腐された汚水の溜りに過ぎない...
永井荷風 「葛飾土産」
...曇天暗く埠頭に觀衆の群も散りたり...
萩原朔太郎 「氷島」
...第四章 再びサラミヤ姫の物語その一悲しみの心あふれてたゞずめる 夜の庭に咲きこぼれたる薔薇の花弁は白く 青く またはほのしろくもくれなゐに……一片 二片 三片 ……「おゝ美しき薔薇の花弁よ――お前はどうしてそんなに傷ましく散り果てたのか――どうかその理由を私に答へて下さい...
牧野信一 「青白き公園」
...登つて見ると一夜のうちに散り果てゝゐて何のことはないわざ/\出かけて青空を見物に行つたも同然だつたと落胆の挙句だつたので...
牧野信一 「書斎を棄てゝ」
...浪路の散り際のはかなさに...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...速力を増して落ち散り...
横光利一 「旅愁」
...明日(あす)やまたきのふの声に驚かん今日はうつつの宇津ノ山越え満目の散り紅葉は...
吉川英治 「私本太平記」
...彼の居眠る脇息(きょうそく)の近くまで散りこんできた...
吉川英治 「新書太閤記」
...散り消えた花の影が...
吉川英治 「日本名婦伝」
...夕霽(ゆふあがり)暮れおそきけふの春の日の空のしめりに櫻咲きたり雨過ぎししめりのなかにわが庭の櫻しばらく散らであるかなひややけき風をよろしみ窓あけて見てをれば櫻しじに散りまふ春の日のひかりのなかにつぎつぎに散りまふ櫻かがやけるかなさういふうちにも私はほんたうの山櫻...
若山牧水 「樹木とその葉」
...ふり仰ぐ絶壁の中腹などに僅に深山躑躅の散り殘つてゐるのを見る所もあつた...
若山牧水 「鳳來寺紀行」
...おおかたはもう散り果てているのであるが...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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