...片手におくれ毛を払ひもあへず……頷(うなず)いて……莞爾(にっこり)した...
泉鏡花 「印度更紗」
...民や……民子はにっこり笑顔さえ見せて...
伊藤左千夫 「野菊の墓」
...肉桂(にっけい)の根や...
江見水蔭 「悪因縁の怨」
...あの方がそれを待っておりますから」秀英は詩から眼を放してにっと笑った...
田中貢太郎 「断橋奇聞」
...女の顔を見てにっと笑った...
田中貢太郎 「一握の髪の毛」
...二進(にっち)も三進(さっち)も行かないぬかるみだし...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「ワーニャ伯父さん」
...つい誘われてにっこりしてしまうのだよ...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...にっこりしたお光の頬辺に笑顔で応じながら...
豊島与志雄 「月かげ」
...矢田の顔を見てにっこりした...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...渡したり」「憎(にっく)い奴等」兵馬は金剛杖を握り締めると...
中里介山 「大菩薩峠」
...にっこり笑いながら棹を外(そ)らして...
中里介山 「大菩薩峠」
...にっこりと笑ったのは...
中里介山 「大菩薩峠」
...この旦那様さえなければ、この旦那様をさえないものにすれば……幸いここは甲斐と信濃の山路の奥、いま降り出した烈しい夕立、只さえ人通りのないところを、前後に全く見ている者はない、天道様さえこの豪雨で姿を隠している、ここに脇差がある、旅の用意の道中差、家を出る時、わたしは用心のために研(と)いで置いた、旦那はこの通りよく眠っている、これで一突き、それで万事がきまる、もし間違って、少しは騒がれてもこの場合、この雨――そうして、後ろは何千丈の谷底だ、死骸をあれへ突き落してしまえば、あとかたもなくなる、もし、見つけられても盗賊追剥の災難といえばそれでも済む――ああ、お内儀(かみ)さんの姿が目の前に浮んで来た、あのたっぷりしたお内儀さんが、にっこり笑って、おお、そうそう、お前の思い通り、一思いにそうなさい、そうそう臆病になっちゃいけない、強い心で……と言ってお内儀さんが手を添えて下さる、もう我慢ができない、決心した!」こう思うと若い番頭は、急に物狂わしくなり、わななく手元で脇差を取ると早くも鞘(さや)を払い、いきなり主人の身辺に寄ると、後ろに悪魔がいて手伝いでもするかの如く、すごい勢いで、主人の咽喉(のど)をめがけて、その脇差を柄(つか)も通れと突き立てました...
中里介山 「大菩薩峠」
...束髪の令嬢もまた莞爾(にっこり)笑いかけて...
二葉亭四迷 「浮雲」
...合爾合(カルカ)はにっこり笑って落入る...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...すると、ミミコは、にっこり笑って、いったのだ...
山之口貘 「雨あがり」
...おなかの子には男親があるんだろう」おえいはにっと微笑した...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...なにってやんで……」李逵が鼻で笑っていると...
吉川英治 「新・水滸伝」
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