...敏感な人間もまた少なかったのである...
芥川龍之介 「戯作三昧」
...第十九世紀に英国のアイルランドに住んでいたマリー・ケンシントンという敏感な婦人が驚くべき特殊能力を発揮した詳しい実験報告が出ている...
海野十三 「階段」
...熱の伝導に敏感な鉄扉は音もなく焼けて...
大阪圭吉 「坑鬼」
...写楽(しゃらく)のごとき敏感な線の音楽家が特に半身像を選んだのも偶然でないと思われる...
寺田寅彦 「浮世絵の曲線」
...また一方とんぼの群れが時には最も敏感な風向計風速計として使われうるであろうということも想像された...
寺田寅彦 「三斜晶系」
...馬のような敏感な動物はナイフの先をちくりと感じただけでも烈しく騒ぎたてて...
コナンドイル Conan Doyle 三上於莵吉訳 「白銀の失踪」
...結核患者特有の敏感な意識と執拗な気分とで...
豊島与志雄 「好意」
...最も敏感な立場にあるのは島村だった...
豊島与志雄 「女客一週間」
...夢想的な瞑想的な沈思的な敏感な女である...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...その敏感な眼を以て...
中里介山 「大菩薩峠」
...敏感な彼女も気づかなかった...
松本泰 「宝石の序曲」
...時代に敏感な者はとかく浅薄になる...
三木清 「西田先生のことども」
...若し敏感な教養のある観察者なら日下部太郎が彼のN会社の専務取締役という職業にも似合わず相当に洗煉された趣味家であることをも...
宮本百合子 「伊太利亜の古陶」
...外界のもの音には意外に敏感なものである...
三好達治 「海辺の窓」
...おそろしく敏感な子どもの神経は...
吉川英治 「新書太閤記」
...がさ、がさと、心蓮の足に、落葉が踏まれてゆくのが、敏感な動物に、人間を感じさせたものとみえ、やがて不意に間近な樹蔭から、――わ、わ、わんッ!発狂しているような犬の声が猛り立った...
吉川英治 「親鸞」
...われわれの想像するような敏感な女がいなかったはずはない...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...我々はこの草紙のうちに、人の心の隅々をまで見渡しつつ、微笑(ほほえ)みながらそれを見まもっていられるような、心広い、賢い、敏感な、そうして心やさしい中宮の姿を見いだす...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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