...ふと葉子は擽(くす)むるようなものを耳の所に感じた...
有島武郎 「或る女」
...「これや少し擽(くすぐ)ったいな...
魯迅 井上紅梅訳 「幸福な家庭」
...擽(くすぐ)つたさうな顔をした...
薄田泣菫 「茶話」
...擽(くす)ぐったくもあった...
徳田秋声 「仮装人物」
...左の男が貞子の腋の下を擽るような恰好をした...
外村繁 「澪標」
...初めは少し擽ったく...
豊島与志雄 「無法者」
...皮肉に擽(くす)ぐったくした...
夏目漱石 「明暗」
...少し擽(くす)ぐつ度い表情です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...八五郎は擽(くすぐ)ったく囁きます...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...自分に自分が擽られた気がして思はず退儀な苦笑を洩した...
牧野信一 「蝉」
...自分は親からでも擽つたい...
牧野信一 「冬の風鈴」
...あとからあとから擽(くすぐ)ったく身体全体を揺ってきた...
正岡容 「小説 圓朝」
...私には擽ったく思われることが多い...
正宗白鳥 「軽井沢にて」
...堀は亀の足の脇の下を擽(くすぐ)ると...
室生犀星 「幼年時代」
...「あらいやあ――擽ったい」かよが嬌声(きょうせい)をあげた...
山本周五郎 「風流太平記」
...「どうしたんだ、もう済まして来たのか」「そんなこといいじゃないの、それより、ねえエこのひとウ」「おう変な声を出すな、そしてそんなに側へ寄っちゃあいけねえ、もっとそっちへいってくれ」「いいじゃないの、なにさこのひと」ゆう娘は、弥六にしがみついた、「あんたお染さんが怖いんでしょ、知ってるわよ、いくじなし、男のくせにあんなおばあちゃんの尻に敷かれて、浮気もできないなんて恥かしくないの、このひと」「うう、放してくれ、頼む、こ、この手」弥六はもがいた、「頼むから放してくれ、もしあいつが帰って来てみつかったら」「とり殺されるってんでしょ、いいじゃないのさア、とり殺されたらされたで、あんな人と別れて、あたしと御夫婦になりましょうよ」「ひとのことだと思ってよせやい、おらあまだ死にたかあねえ、頼むから勘弁してくれ」「大丈夫だったら、あの人は朝までは帰って来やしないわよ、ねえン、そんなに薄情にしないでぎゅっと抱いてようン、あの人どんなだか知らないけど、あたしのは万人に一人の別誂(べつあつ)らえよ、さあおとなしくして、これをこう、ねえン」「ひひひ、よしてくれ、ふふふ、擽ぐってえ、へへへへ、待ってくれ」身もだえをして、絡み合っているところへ、その二人の眼前へ、なんと、当のお染ゆう女がおどろおどろと現われた...
山本周五郎 「ゆうれい貸屋」
...かりそめ事にしても擽つたい事で...
吉川英治 「折々の記」
...もう務(つと)めをすませたのだなと思う! 背中の真中(まんなか)が擽(くすぐ)ったいような気持で...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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