...」と大(おおい)に擽(くすぐ)って笑うと...
泉鏡花 「婦系図」
...「あゝ擽ぐったい、擽ぐったい」と、信一は欄干に腰をかけて、真っ白な柔かい足の裏を迭(かわ)る/″\私達の鼻先へつき出した...
谷崎潤一郎 「少年」
...」庸三は擽(くすぐ)ったい感じだった...
徳田秋声 「仮装人物」
...「喜代ちゃん!」こちらも怒ったふりを見せようか、黙っててやろうか、擽ってやろうか、どうしてくれようか……とそんなことを考えるだけの間を置いて、彼女はふいに、皺も筋もない白臘のような顔を振向けた...
豊島与志雄 「溺るるもの」
...Dこれは笑話だが、ごく常識的に云って、痛さと、痒さと、擽ったさと、どれに人は最も我慢しやすいであろうか...
豊島与志雄 「文学以前」
...涙っぽい擽ったさが胸にしみる...
豊島与志雄 「慾」
...松(まつ)の木(き)からはみんみん蝉(ぜみ)の樣(やう)な松蝉(まつぜみ)の聲(こゑ)が擽(くすぐ)つたい程(ほど)人(ひと)の鼓膜(こまく)に輕(かる)く響(ひゞ)いて凡(すべ)ての心(こゝろ)を衝動(しようどう)する...
長塚節 「土」
...擽(くすぐ)ったくて困りました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
......
波立一 「動員令」
...家(うち)の横町の角迄来て擽(くすぐッ)たいような心持になって...
二葉亭四迷 「平凡」
...今では母から返つて擽られるやうな間の悪さを覚へた...
牧野信一 「「悪」の同意語」
...擽つたいやうな……で...
牧野信一 「小川の流れ」
...光りに擽られるかのやうに敏感さうに胸をおさへて身体を縮ませた...
牧野信一 「タンタレスの春」
...擽つたく情けなかつた...
牧野信一 「父を売る子」
...何かかう擽つたい糸のやうなもので引つぱり付けられるかのやうに思はれて...
牧野信一 「闘戦勝仏」
...或ひは擽り殺してやりたいやうな衝動に駆られるといふことだつた...
牧野信一 「沼辺より」
...私には擽ったく思われることが多い...
正宗白鳥 「軽井沢にて」
...耳のなかを擽るやうに女はひそひそと囁いた...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
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